2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18104004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
牧島 一夫 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (20126163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 知洋 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (50342621)
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Keywords | X線・ガンマ線天文学 / 銀河団 / プラズマ物理学 / すざく衛星 / 光学観測 / 粒子加速 / 雷雲ガンマ線 |
Research Abstract |
1.「すざく」によるX線観測で、かみのけ座銀団およびAbell 2199銀河団において、非熱的硬X線に厳しい上限値をつけることに成功した。昨年度の結果と合わせると、従来から続いていた論争にほぼ決着がつき、銀河からの硬X線は従来の理解よりは弱いことが確実となった。これにより、プラズマ中の磁場が異常に弱いという問題が回避できた。 2.昨年度のAbell 3667での超高温成分の発見に刺激され、「すぎく」でみ「なみのさんかく」座銀河団を観測したが、プラズマは9.5keVで等温であり、超高温成分は検出されず、厳しい上限を設定できた。これは超高温成分の寿命に、有力な手掛かりとなる。 3.XMM-Newton衛星によるケンタウルス座銀河団のX線観測から、この銀河団の中心部では、高温と低温のプラズマが共存することを明らかにした、これは、本課題の一端を担う「中心銀河コロナ」の仮説を実証する、重要な結果である。 4.プラズマとの相互作用で、メンバー銀河が銀河団の重力ポテンシャルの中心に落下してきた証拠を得るため、ハワイ大学の88インチ望遠鏡などにより10個を越す銀河団の多色撮像観測を実行し、データを取得した。これにより、銀河団のX線と可視光の空間分布が、赤方偏移とともに進化する徴候を探っている。 5.電場加速の研究では、マグネターの硬X線放射が、誘導電場による粒子加速の結果である証拠を強めた。また乗鞍岳山頂で雷雲からガンマ線バーストの検出に成功したことで、雷雲中で静電場加速が起きていることを確実なものとした。 6.外国人理論家と協力し、銀河中心付近からのディフューズな軟X線および硬X線放射を、銀河中心からの高エネルギー粒子の引き起こす現象として解釈した。
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Research Products
(25 results)