2008 Fiscal Year Annual Research Report
南極周回飛翔超伝導スペクトロメータによる太陽活動極小期の宇宙起源反粒子探査
Project/Area Number |
18104006
|
Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
山本 明 High Energy Accelerator Research Organization, 超伝導低温工学センター, 教授 (30113418)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 浩司 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (50272464)
槙田 康博 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (30199658)
野崎 光昭 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (10156193)
長谷川 雅也 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (60435617)
|
Keywords | 宇宙起源 / 反粒子 / 反物質 / 原始ブラックホール / 宇宙暗黒物質 / 超伝導スペクトロメータ / 太陽活動極小期 / 南極周回気球 |
Research Abstract |
本研究は、宇宙線反陽子流束の精密観測および宇宙線反粒子・反物質の探索を通して、初期宇宙における素粒子像を探ることを目的とし、S.W.Hawkingが提唱した原始ブラックホール(PBH)、または宇宙暗黒物質(ダークマター)を起源とする反陽子(反粒子)の探査を推進している。南極周回気球飛翔による宇宙線観測をめざし『超伝導スペクトロメータ(宇宙線観測装置)』の性能向上を完成させ、『太陽活動極小期、高緯度極地(南極)における長時間観測、大立体角観測』の3条件をあわせた観測を、平成19年度に成功させた。超伝導スペクトロメータは、大気上空の飛翔期間中、期待した性能を発揮し、目標とした20日間を上回る24.5日の観測に達成した。 平成20年度には、データ解析に集中し、観測装置としての性能を最大限に引き出すための、測定器キャリブレーションに大きな力を注いだ。その結果、困難を極めた粒子飛跡検出器、飛行時間測定器両方の全キャリブレーションを完了し、物理解析に進むことができた。『宇宙起源反粒子の探索』、『宇宙における物質/反物質の非対称性の検証』を目指した解析の最終段階に近づいており、物理結果の一歩手前となる粒子速度(β)とリジディティ(R)の関係図を引き出すことまで成功した。本研究の最終年度となる平成21年度に物理成果を発表することへの見通しを得ることができた。 この研究は、粒子加速器を用いた素粒子実験による、初期宇宙における素粒子現象の解明と相補的な立場を持ち、宇宙観測を通して、直接的に宇宙初期の素粒子現象を探ることができる、重要な役割を担っており、高エネルギー加速器研究機構が推進する素粒子物理実験を側面から、支える役割も果たす。
|
Research Products
(5 results)