2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18104007
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菅 滋正 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (40107438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今田 真 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教授 (90240837)
関山 明 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助手 (40294160)
恒川 雅典 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助手 (20403131)
山崎 篤志 甲南大学, 理工学部, 講師 (50397775)
矢橋 牧名 財団法人高輝度光科学研究センター, 副主幹研究員 (00372144)
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Keywords | バルク敏感 / 金属-絶縁体転移 / 高分解能 / 表面 / 相転移 / 3次元フェルミオロジー |
Research Abstract |
強相関電子系の電子状態はバルクと表面とで著しく異なる事は2000年に我々がCe化合物で明らかにした。それ以来、この事実は今日では広く認識されている。それゆえ光電子分光でバルク電子状態を探るためには、通常よく使われている20eVから120eVの光では不十分であり、数百eVの軟X線、数千eVの硬X線での測定が必須である。我々は今日熱電材料として広く注目されているスクッテルダイト系のSm化合物の真のバルク電子状態を軟X線域での3d-4f共鳴光電子分光の手法と、8keVの硬X線光電子分光の結果を組み合わせて解明することに成功した。通常Sm化合物では表面はバルクと比べて2価成分が多いが、SmOs_4Sb_12ではむしろバルクの方が2価成分が多いというこれまでに知られた事のない事実が判明した。また低温相では強磁性体となるCeRu_2Ge_2という物質を対象に光エネルギーを変えながら行った3次元角度分解光電子分光では、この物質の高温相の常磁性状態におけるバルクフェルミ面の形状の3次元可視化に成功した。このことは多くの強相関電子系物質の電子状態の完全な理解を可能にするものであり、今後の爆発的利用研究の発展が期待できる。また金属-絶縁体転移を示す典型的な物質であるV_2O_3系の軟X線光電子分光を数年がかりで推進してきたが、ギャップの生成機構を含む電子状態の変化の完全な解明に近づきつつある。今後低温での硬X線光電子分光に加えて、高温での硬X線光電子分光さらにはバルク敏感とも言われている極低エネルギー光電子分光を推進しスペクトルのエネルギー依存性を含めて検討する事を行う予定である。
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Research Products
(10 results)