2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18105002
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 寛治 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (30106629)
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Keywords | 金属クラスター / 多核クラスター / 多電子移動 / 多点相互作用 / 小分子活性化 |
Research Abstract |
22年度は新規なクラスター反応場の構築と三核ルテニウムペンタヒドリドクラスター上での炭化水素の変換反応に取り組み、いずれの課題に対しても良好な成果を挙げることができた。前者の課題について1は、炭化水素鎖で架橋された2つのシクロペンタジエニル基にルテニウムを導入したのちヒドリド化することにより、平行四辺形状にルテニウムが配置した新規な四核クラスター反応場の構築を達成した。この反応場にはベンゾキノン2分子が取り込まれ、さらに分子間相互作用することにより、異方的な高次構造を自発的に組上げることが明らかになった。同時に、電子供与性の異なるトリアザシクロノナン誘導体(tacn)とペンタメチルシクロペンタジエニル基を支持配位子とする混合配位子型ポリヒドリドクラスターの合成を達成した。このクラスターは電子的な異方性を示し、tacnと直接結合したルテニウム中心の求核性は極めて高く、2酸化炭素を素早く取り込み半還元体であるフォルマート錯体を与えることを見出した。一方、クラスター上での炭化水素の変換反応に関しては、化学量論的ではあるがベンゼンへのアルキル基導入反応を達成した。ベンゼンに置換基を導入しないまま、その炭素-水素結合を切断するのは通常の方法では達成できないがポリヒドリドクラスターでは容易に達成できることを利用したものである。さらに、三核クラスター反応場の上面と下面に取り込まれた2つの炭化水素配位子間の選択的メタセシス反応を見出し、ドイツ化学会誌に発表して高い評価を得た。 これらの研究成果を専門誌に発表するとともに、有機金属国際会議(ICOMC 2010, Taipei, 850人)のPlenary lecturerをはじめ3件の国際学会の招待講演で発表した。
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Research Products
(7 results)