2006 Fiscal Year Annual Research Report
元素の多様性と多元素共同効果の解明および有機合成への展開
Project/Area Number |
18105004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 栄一 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (00134809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉戒 直彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (50401170)
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Keywords | 元素科学 / 合成化学 / 有機金属化学 |
Research Abstract |
本研究は,8-13族金属元素の反応性およびこれらの元素の係わる多元素協働作用の解明と,それを基盤とする高効率かつ高立体・官能基選択的な炭素-炭素結合生成反応の開発を目的としている.本年度は,以下にまとめる通り種々の金属元素に関する触媒反応機構研究および開発研究において成果を挙げることができた. (1)コバルト・ロジウム(9族)複核錯体触媒を用いるアルキンのシリルホルミル化反応:尾島らにより開発された同反応の反応機構について高精度量子化学計算を用いた検討を行い,触媒サイクルの全体像及び異種金属の協働作用を解明した.これら知見は複核錯体触媒の設計に有用な指針を与えると考えられる.(2)銅(11族)触媒による有機亜鉛(12族)化合物の不斉共役付加反応:これまでの有機銅反応の機構研究で得た知見を活用し,銅と典型金属の協働作用を促進する新規光学活性配位子・アミノヒドロキシホスフィンを開発した.本配位子により,従来困難であった直鎖のα,β-不飽和カルボニル化合物への不斉共役付加反応を,極めて高い立体選択性及び一般性で実現できた.(3)亜鉛(12族)を用いるベンゾヘテロールの合成:ο-アルキニルフェノール(アニリン)の有機亜鉛試薬による脱プロトン,引き続く環化によって生成する3-亜鉛化ベンゾフラン(インドール)を利用して,種々のベンゾフラン及びインドール誘導体の合成に成功した.今後,これら誘導体の材料科学への応用が期待される.(4)インジウム(13族)触媒を用いる炭素-炭素結合生成反応:インジウム触媒による1,3-ジカルボニル化合物の単純アルキンへの付加反応を開発した.本反応は,極小量の触媒存在下,無溶媒で定量的に進行するという,有機合成反応として理想的条件を備えたものである.本反応の応用として,分子内反応による中-大員環化合物の効率的合成やヨードアルキンへの付加を用いた多置換オレフィンの立体選択的合成を達成した.
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Research Products
(8 results)