2007 Fiscal Year Annual Research Report
元素の多様性と多元素協働効果の解明および有機合成への展開
Project/Area Number |
18105004
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 栄一 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (00134809)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉戒 直彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (50401170)
|
Keywords | 均一系触媒 / 炭素炭素結合生成 / π電子系化合物 / 有機デバイス |
Research Abstract |
本研究は,主として8-13族の金属元素の反応性およびこれらの元素の係わる多元素協働作用の解明と,それを基盤とする高効率かつ高立体・官能基選択的な炭素-炭素結合生成反応の開発,さらにそれらの反応を用いた機能性分子の合成と応用を目的としている.本年度は,以下に代表的なものをまとめる通り,有機金属化学・合成化学・材料化学などの多岐にわたる分野に波及効果を与える研究成果をあげることができた. (1)鉄触媒による新規炭素-炭素結合生成反応:鉄触媒,アリール亜鉛試薬およびジクロロアルカンからなる触媒系により,2-アリールピリジン類のC-H結合アリール化反応を開発した.本反応は,安価かつ低毒性の鉄触媒を用いた炭素-水素結合活性化/炭素-炭素結合生成反応として,実験室レベルで実用的な初めての例である.(2)亜鉛またはスズ反応剤を用いるベンゾヘテロールの合成と応用:これまでに開発した亜鉛反応剤を用いるベンゾフラン合成法を応用して,新規ベンゾジフラン誘導体を合成した.さらに,これら誘導体が有機発光ダイオードにおけるホール輸送材料として,従来用いられてきたトリアリールアミン類を上回る高い性能を示すことを見出した.さらに,アルキンのスタニルリチウム化を経るベンゾシロール環化反応を見出し,パラジウム触媒交差カップリング反応と組み合わせることでベンゾシロール誘導体のモジュラー型合成法を確立した.さらに,本法で合成したベンゾシロール誘導体が電子輸送材料として有望であることを見出した.(3)インジウム触媒を用いる炭素-炭素結合生成反応:インジウム(III)触媒を用いたケトエステル誘導体のアルキン類への立体選択的付加反応により,4級不斉炭素中心の高選択的構築に成功した.また,本反応を分子内反応へと展開し,6員環から15員環までの様々な環状化合物の効率的合成を実現した.
|
Research Products
(32 results)