2006 Fiscal Year Annual Research Report
低次元プラズモンの分散制御を利用した電磁波伝搬モード型回路の研究
Project/Area Number |
18106006
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
尾辻 泰一 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (40315172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RYZHII VICTOR 会津大学, コンピュータ理工学部, 教授 (90254078)
佐野 栄一 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 教授 (10333650)
楢原 浩一 山形大学, 工学部, 助教授 (00422171)
MEZIANI YAHYA 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (80436162)
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Keywords | 電子デバイス / 低次元プラズモン / 分散制御 / 電磁波 / 伝搬モード / 回路 / 集積回路 / テラヘルツ |
Research Abstract |
本研究は、低次元プラズモンの分散制御を利用した新規な電磁波伝播モード型回路の創出をめざすものである。研究開始にあたる今年度は、プラズモンの分散制御基盤技術の開拓として位置付け、以下のとおり実施した。 (1)低次元プラズモンの局在性と分散特性の関係解明:低次元プラズモン中の波動のもつ様々な分散の信号制御への適応を探索するために、一次元の非線形伝送線路あるいはメタマテリアル線路をプラットフォームとした新しい信号処理系の研究を行った。唯一のしきい値電圧を持つ仮想的なスイッチを装荷した伝送線路を考え、入力パルス電圧レベルがスイッチのオン/オフレベル時の各々の分散をもとに成立する速度整合条件を導出した。その結果、速度整合条件下では著しいパルス圧縮を実現できることを見いだし、極短電気パルス信号生成回路の提案に至った。 (2)低次元プラズモンモード分散特性のモデル化:質量消失効果を有する材料として注目されているグラフェン(単原子層の炭素シート)をトランジスタのチャネル層に導入した場合の、プラズマ共鳴増強効果を解析的に検討した。質量消失電子によるプラズマの運動方程式を量子論による運動量-エネルギーの関係を用いて定式化し、ポアッソン方程式を連立して分散関係を導出した結果、長波長近似のプラズマ波動では線形分散特性を示すこと、通常の化合物半導体層と比較して、3〜5倍のプラズマ共鳴増強効果が得られることを明らかにした。 (3)プラズモン分散制御機構の実験的検証とモデル化:GaAs系ヘテロ接合材料を用いて独自構造の2次元プラズモン共鳴型エミッタを試作し、光学的励起でプラズモン共鳴を種とするテラヘルツ電磁波放射に成功した。波数(共振器長)と電子濃度(プラズマ速度)に対する放射スペクトルの依存性が2次元プラズモンの分散特性に対応することを実験的に検証し、プラズモン分散特性の電気的光学的制御による電磁波伝搬特性の変調機構の実証に成功した。 (4)要素回路の構造検討・試作評価:分散制御応用回路のひとつとして磁気壁メタマテリアルを取り上げた。スラブ導波路型左手系媒質を磁気壁として機能させるには、磁気壁を構成する基板の厚みを実効波長の1/4以下に抑える必要がある。実用的な200μm厚のInP基板を用いた場合には、110GHz以上での動作は不可能となる。そこで、金属パッチの反転パターンによりインダクタンスを基板表面に形成し、基板厚方向をキャパシタンスとして動作させる新たな磁気壁メタマテリアルを考案した。プリント基板を用いた試作評価の結果、GHz帯にて正常動作を確認した。
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Research Products
(41 results)