2006 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導複合材料の内部ひずみと臨界電流のその場測定法の開発および相関定量評価
Project/Area Number |
18106011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
落合 庄治郎 京都大学, 国際融合創造センター, 教授 (30111925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 浩司 京都大学, 国際融合創造センター, 助教授 (50214060)
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Keywords | 超伝導複合材料 / 残留ひずみ / X線回折 / モデリング / 臨界電流 / 弾・塑性力学 / 損傷 |
Research Abstract |
本年度は、放射光を利用した実験として、室温における残留歪量の定量評価と、そのデータを利用した複合線材の製造熱履歴における応力状態解析に基づく内部歪評価手法の定量的精度評価をおこない、ミクロな損傷集積モデルによる破壊シミュレーションの外部境界条件としての平均構造評価として従来おこなわれている熱残留歪解析の妥当性を検証するとともに、これらの取得データをもとに次年度以降に計画されている動作温度(液体窒素温度)における歪分布の実測と、それを利用した損傷集積モデルによる超伝導電流劣化機構のモデル化のための準備として、実験条件および実験装置の詳細設計を年度後半に進めた。主な成果は以下のように要約される。 (1)放射光を利用した回折実験により、Bi2223超伝導テープ中の超伝導電流輸送を担うBi2223フィラメントの室温での残留歪みを測定し、その解析から、冷却過程で残留歪みが集積し始める温度の同定に成功するとともに、その後の温度履歴に伴う残留歪みの変化を初めて明らかにした。また、本結果から77Kでの残留歪みを算出し、臨界電流の耐歪み特性を予測し、実験的にその妥当性を証明した。これらの成果は超伝導材料分野で初めてのもので、国際会議(MEM06)で高く評価され、その後著名雑誌に掲載された。(2)破壊シミュレーション研究を進め、臨界電流の局所分布と試料全体の臨界電流の相関のモデル化し、フィラメントの破壊歪みと残留歪みの差が損傷誘起パラメータとして有効なことを明らかにした。またこれにより、曲げ変形における試料長手方向の損傷誘起パラメータの分布を評価する手法を提案した。これらの成果は国際会議(ISS2006)で発表し、著名雑誌に論文掲載が決定している。(3)並行して、次年度以降に予定している77Kでの内部歪み測定に向けて、X線装置の詳細設計を行い、組み立てた。
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Research Products
(6 results)