2007 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導複合材料の内部ひずみと臨界電流のその場測定法の開発および相関定量評価
Project/Area Number |
18106011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
落合 庄治郎 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (30111925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 浩司 京都大学, 工学研究科, 准教授 (50214060)
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Keywords | 超伝導複合材料 / 残留ひずみ / X線回折 / モデリング / 臨界電流 / 弾・塑性力学 / 損傷 |
Research Abstract |
本年度は、主として室温における残留歪量のX線回折による定量評価と、そのデータを利用した複合線材の製造熱履歴における残留歪集積プロセスのモデル化を行った。また併せて、室温と77Kの温度差で線膨張率の評価も試みた。主な成果は以下のように要約される。(1)高臨界電流を持つBi2223複合テープおよび抽出したフィラメントの放射光を利用した回折実験により、複合テープ中のBi2223フィラメントの室温残留歪を測定し、弾・塑性力学と組み合わせて、冷却過程で残留歪集積開始温度を563Kと同定した。また室温から77Kへの冷却、77Kから室温への加熱過程での銀の引張・圧縮降伏挙動がBi2223フィラメントの歪ヒステレシスに及ぼす影響を定量的に把握した。(2)本結果から77Kでの残留歪を計算で算出し、77Kでの臨界電流の耐歪特性を予測する方法を提案した。この方法で予測した値は、実測した臨界電流の引張負荷歪依存性と良い一致を示した。(3)フィラメント単独での破壊歪と複合テープ中でのフィラメントの残留歪の差を損傷誘起パラメータとして用い、フィラメントが銀に埋め込まれたコア部の幾何学的形状と組み合わせることによって、Bi2223複合テープの臨界電流の曲げ歪依存性を精度良く説明できることを示した。(4)高臨界電流のBi2223超伝導複合テープと高弾性のステンレス鋼とのラミネート化による臨界電流の耐歪特性向上は知られてはいるが定量的な説明はこれまでなされてこなかった。この問題に対して、X線回折と弾塑性力学解析を行い、ラミネーションはフィラメント軸方向の圧縮熱残留歪増加と破壊モードの変化を引き起こす効果を持つことを初めて定量的に示した。
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