2008 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導複合材料の内部ひずみと臨界電流のその場測定法の開発および相関定量評価
Project/Area Number |
18106011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
落合 庄治郎 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (30111925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 浩司 京都大学, 工学研究科, 准教授 (50214060)
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Keywords | 超伝導複合材料 / 残留ひずみ / X線回折 / モデリング / 臨界電流 / 弾・塑性力学 / 損傷 |
Research Abstract |
本年度は、室温から77Kにおけるフィラメント系のBi2223テープ材およびコーテッド系のDyBCOテープ材の残留ひずみのX線回折による定量評価とその集積過程の解析を行うと共に、残留ひずみと超伝導相の破壊ひずみを組み合わせたモデリングによる負荷ひずみ下での臨界電流の負荷ひずみ依存性ならびに臨界電流値分布の解析を行った。主な成果は以下のように要約される。(1)ステンレスフォイルラミネートおよび非ラミネートBi2223複合テープおよび抽出したフィラメントの放射光を利用した回折実験により、複合テープ中のBi2223フィラメントの残留ひずみを評価し、ラミネートが圧縮残留ひずみを約0.1-0.2%増大する効果を持つことを初めて証明した。(2)これらの残留ひずみおよび応力-ひずみ曲線から評価した破壊ひずみと、フィラメントの埋め込まれたコア部の幾何学的形状を組み込んだモデルを用いて、曲げひずみ下での臨界電流のひずみ依存性を予測し、実験で本アプローチの妥当性を証明した。(3)破壊ひずみと残留ひずみの差を試料毎および試料内の位置で変動するパラメータとして、臨界電流分布を定量化するモデルを提案した。このモデルを実験結果に適用し、このパラメータがワイブル分布にしたがうこと、それを反映して臨界電流もワイブル分布で表現できることを明らかにした。(4)上記結果を用い、長尺試料は臨界電流が異なる短尺試料の集合体として取り扱い、発生電圧加算モデル、モンテカルロシミュレーション法を適用することにより、短尺試料の臨界電流およびn値の分布から、長尺試料の臨界電流とn値の分布を求める方法を提案し、実験でその妥当性を検証した。本手法により、臨界電流分布とn値分布の試料長さ依存性予測が可能になった。
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