2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18107001
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松岡 信 Nagoya University, 生物機能開発利用研究センター, 教授 (00270992)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 正敏 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (50237278)
|
Keywords | 遺伝子 / シグナル伝達 / 発現制御 |
Research Abstract |
イネGA受容体欠損変異体gid1-8の矮性を回復する変異体(suppressor gid1-1, sgd1)を単離し、その原因を解析した。その結果、その変異はGID1遺伝子上に存在するイントラジェニック変異であることが確認された。GA受容体GID1立体構造に基づき、その変位箇所を調べたところ、GID1とGAとの結合の際に蓋の役割をするリッドの開閉に関与することが予想された。そこで、GA非存在下においてSGD1タンパク質とSLR1との結合を測定したところ、SGD1はイネDELLAタンパク質(SLR1)とGA非存在下でも相互作用することが確認できた。さらに、様々な欠失を持つSLR1を用いて、SGD1との相互作用を調べたところ、その結合様式はGID1がGA存在下で示すものと同様であった。このことから、SGD1はGA非存在下で、GID1がGAと結合した状態を模倣していると考えられた。 シロイヌナズナGA受容体は3種類有り、その内AtGID1bはGAの非存在下でDELLAタンパク質と相互作用する。そこで、このAtGID1bのGA非存在下DELLAタンパク質相互作用が、イネのSGD1と同様な機構によるかを検討した。アライン解析により、SGD1の変異の原因となった箇所に対応する部分が、AtGID1bは他のシロイヌナズナのGID1と異なっていることが確認された。このAtGID1bに特異的な違いがAtGID1bのGA非存在下DELLAタンパク質相互作用の原因だと考え、AtGID1aの配列と置き換えた結果、AtGID1bのGA非存在下DELLAタンパク質相互作用は無くなり、GA依存的DELLAタンパク質相互作用が残った。これらのことから、SGD1型の変異は自然界において既に起こっており、双子葉植物であるシロイヌナズナにおいてはこの変異を持った遺伝子をその生活環において利用していることが明らかになった。
|