2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18107005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 義一 The University of Tokyo, 医科学研究所, 教授 (40114590)
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Keywords | アプタマー / RNA / SELEX / サイトカイン / ノンコーディングRNA / 自己免疫疾患 / 創薬 / 分子擬態 |
Research Abstract |
本研究では、1)試験管内進化法を用いた人工アプタマーの創成によるRNA機能の多角的研究開発と、2)ncRNAに内蔵された天然アプタマーの探索研究を実施した。以下にそれらの成果を要約する。 1)「人工RNAアプタマーの機能特性研究開発」 (a)IL-17アプタマー:T細胞サブタイプTh17細胞が産生するサイトカインIL-17の発現異常は自己免疫疾患の要因となる。今年度、ヒトIL-17に対してアプタマーを作出した。その一つは解離定数50pMの強い親和性と阻害効果をもち、細胞実験ならびにマウス病態モデルにおいて顕著な薬効を示すことを確認した。 (b)FGF2アプタマー:塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)に対するアプタマーを作出した。表面プラズモン共鳴(BIAcore)実験によってアプタマーによる受容体結合阻害効果を確認。さらにヒト細胞実験でFGF2によるシグナル伝達の遮断効果も確認した。次年度は動物での薬効実験を予定する。 (c)IgGアプタマー:ヒトIgGに対する高親和性アプタマーを作出し、IgG抗体との複合体を、X線結晶構造分析し、1.9Åの高解像度の構造を明らかにした。その結果、アプタマーRNAが複数の分子内相互作用を織りなし、IgGの形状にジャストフィットする実像が原子レベルで明らかになった。RNAの優れた造形力は驚くほどである。 2)「天然RNAアプタマーの探索研究」 non-coding RNAの体系的な解析に必要な探索システムの開発を継続して実施した。研究の要点は、SELEX法に用いるランダム配列の合成RNAのプールの代わりに、細胞から調整した天然のRNAプールを使用するという点である(Genomic SELEX)。最初に鎖長や量もまったく不均一な細胞のRNAを、傷つけず、微量漏らさず、分離して、SELEX用の配列加工を加える操作が予想以上に困難であったが、ようやく、そのバリアーを解決し、Genomic SELEX法を確立した。これを用いて、複数の生理活性タンパク質に対する天然アプタマーの分離を進めているが。その中で、U1A、HEXIM1、PABP1タンパク質に対する候補RNA分子種を分離、解析中である。
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[Journal Article] Structural insights into eRF3 and stop codon recognition by eRF1.2009
Author(s)
Cheng, Z., Saito, K., Pisarev, A.V., Wada, M., Pisareva, V.P., Pestova, T.V., Gajda, M., Round, A., Kong, C., Lim, M., Nakamura, Y., Svergun, D.I., Ito, K., Song, H.
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Journal Title
Genes Dev 23
Pages: 1106-1118
Peer Reviewed
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