2007 Fiscal Year Annual Research Report
古代中国人類集団の遺伝的多様性とその変遷ならびに生活史の解明
Project/Area Number |
18107007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植田 信太郎 The University of Tokyo, 大学院・理学研究科, 教授 (20143357)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒崎 久仁彦 東邦大学, 医学部, 教授 (60240701)
米田 穣 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (30280712)
太田 博樹 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教 (40401228)
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Keywords | 古代DNA / 古人骨 / 炭化米 / 遺伝的様性 / 人類進化 / イネ / 国際研究者交流 / 中国 |
Research Abstract |
昨年度緊急調査を実施し収集に成功した四川省,金沙遺跡出土古人骨の一部についてDNA分析を実施し,約三分の一に試料に関してPCR法によるミトコンドリア・Dループ領域のDNA増幅に成功した。また,本研究課題で当初に予定していた河南省,商代前期の偃師遺跡から出土した古人骨の収集を終え,約半数の試料に関してDNAの抽出・精製ならびにミトコンドリアDループ領域の増幅を実施した。増幅に成功した約三分の一の試料についてPCR-direct sequencing法による塩基配列の決定をおこなつた。これらDループ領域のDNA増幅とその塩基配列の決定に成功した古人骨に関してコーディング領域のSNPサイトの分析をおこない,ミトコンドリア・ハプログループを推定したところ,東アジアに特徴的なハプログループが多く存在した。これは,本研究の目的である古代中国における人類集団の遺伝的多様性の時代的変遷に関して重要な意味をもっ知見であり,次年度以降,分析手法の改良等を加えながら本格的な解析を進めることとした。また,遺跡から出土した動植物遺骸のDNA分析をおこなうことにより古代中国の人々の生活を支えた動植物の様態を明らかにすることも重要であり,本年度は黄河中下流域の遺跡から出土した穀類遺骸の収集をおこなった。動植物遺骸DNAデータを解釈するためのレファレンスデータとしての現生種の遺伝的多様性に関するデータが極めて貧弱であるため,昨年度に主要穀物であるコメに関して遺伝的多様性に富むと同時に,それぞれの系統に独立な変異部位である葉緑体DNAのインフォーマティブ・サイトの抽出をおこなったが,本年度はその結果に基づきOryza属20種の遺伝的多様性ならびに系統関係を明らかした。さらに,現生栽培イネの遺伝的多様性の詳細な分析によって,稲作の伝来の解明に重要な炭化米DNAマーカーの抽出に成功した。
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