2010 Fiscal Year Annual Research Report
麹菌のタンパク質高分泌能の分子細胞生物学的理解とセルファクトリーへの利用
Project/Area Number |
18108002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北本 勝ひこ 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (20272437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有岡 学 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (20242159)
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Keywords | 麹菌 / タンパク質分泌 / タンパク質生産 / エンドサイトーシス / オートファジー / プロテアーゼ遺伝子破壊 |
Research Abstract |
麹菌(A.oryzae)は、真核生物の中で最も高いタンパク質分泌生産能力をもつ。また、日本酒、味噌、醤油などの醸造に古くから使用されていることから安全な微生物であり、洗剤用酵素剤やセルラーゼなどの有用タンパク質生産に広く利用されている。本研究は、全ゲノム情報を利用して、麹菌のもつ高いタンパク質分泌能を分子細胞生物学的手法により解析し、有用なタンパク質生産のためのセルファクリーとして利用しようとするものであり、今年度は下記のような結果を得た。 1)昨年度までに酵母ツーハイブリッド法により見いだしたエンドサイトーシスに関連する新規遺伝子(AipA,AipB,AipC,AipD)について解析を行い、AipAの高発現により菌糸先端の極性生長が異常になることから、菌糸先端部位のエンドサイトーシスを負に制御している因子であると推定した。また、AipC,AipDの破壊株の解析から分生子形成に関与していることを明らかにした。 2)異種タンパク質の分解に関与しているプロテアーゼを同時に10種類破壊した株を取得した。プロテアーゼ10重破壊株を用いて、ウシ由来キモシンやヒト由来リゾチームの生産性が有意に向上していることを確認した。 3)GFPタグを付加した分泌タンパク質の細胞内挙動の観察から、ERに滞留したものの一部が液胞に運ばれて分解されることを示唆する結果を得た。そこで、液胞でのバルクな分解に関与しているオートファジー欠損株によりキモシンを生産させたところ、有意に生産性が向上することを見いだした。これまでにAoatg4,Aoatg8,Aoatg1など様々なステップで働く遺伝子破壊株で同様な結果が認められたことから、その詳細なメカニズムの解析を進めている。
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Research Products
(27 results)