2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18109004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野本 明男 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特任教授 (70112670)
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Keywords | ウイルス / 感染症 / 生体分子 / 脳神経疾患 / 病理学 |
Research Abstract |
ポリオウイルスの中枢神経系への侵入経路は2つ知られている。一つは血液脳関門透過経路であり、もう一つは逆行性軸索輸送経路である。今年度は、この2つの体内伝播経路を解析したが、特に前者に関する研究に重点をおいた。 昨年度までに、ポリオウイルスの血液脳関門透過(血管内皮細胞のトランスサイトーシス)には、トランスフェリン受容体が関与していることを示すことが出来た。今年度は、この知見を確実なものとするために、トランスフェリン受容体上のウイルス粒子表面と相互作用するペプチド部分を同定する実験を行った。すなわち、トランスフェリン受容体の各ペプチド部分とポリオウイルス粒子との直接結合を免疫沈降法を用いて検討した。その結果、トランスフェリン受容体のアピカルドメインに存在する9アミノ酸を同定することが出来た。次に、その9アミノ酸からなるペプチドに結合するポリオウイルス粒子表面のペプチドについて検討した。現在までに、その候補部位を同定することに成功し、さらに詳細な実験により、ペプチド部位を同定するつもりである。 後者については、プライマリー運動神経培養を使用したin vitro系とマウスを使用したin vivo系では、ウイルスの細胞内への取り込みメカニズムに根本的な違いがあることが明らかとなった。すなわち、in vitro系では、ポリオウイルス受容体(PVR)が存在しないと、ポリオウイルスの運動神経軸索への取り込みは観察されないが、in vivo系では、骨格筋に接種したポリオウイルスはPVRを持たない普通のマウスの軸索へも取り込まれることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)