2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18109004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野本 明男 財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 所長 (70112670)
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Keywords | ウイルス / 感染症 / 生体分子 / 脳神経疾患 / 病理学 |
Research Abstract |
ポリオウイルスの中枢神経系への侵入経路は二つ知られている。一つは血流からの血液脳関門透過であり、もう一つは骨格筋からの逆行性軸索輸送経路である。平成22年度は、新たな研究環境でウイルス研究室を立ち上げたため、実際にウイルスを使えるようになるまでの時間が掛かった。そのため、ウイルスを使う必要のない研究を行った。 これまでに、ポリオウイルスの血液脳関門透過に働く宿主側分子は、トランスフェリン受容体であり、その受容体上の9アミノ酸からなるペプチドがポリオウイルスが結合するために働いていることを明らかにしていた。そこで今年度は、ポリオウイルス粒子表面のどのペプチド部位がトランスフェリンとの結合に必要かを検討した。 ポリオウイルス粒子の表面に存在する種々なペプチド部位にMBP(maltose binding protein)を付加し、トランスフェリン受容体上の9アミノ酸と効率良く結合するペプチドを免疫沈降法で探索した。その結果、ポリオウイルス粒子表面上の13アミノ酸からなるペプチドが最も効率良くトランスフェリン受容体の9アミノ酸と結合することを明らかにした。 さらに、この13アミノ酸からなるペプチドは、in vitroのBBBモデルにおいて、血管内皮細胞に取り込まれ、この細胞を透過することを証明した。
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