2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18109005
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉村 昭彦 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 教授 (90182815)
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Keywords | ヘルパーT細胞 / インターフェロン / SOCS / 炎症 / アレルギー / 自己免疫疾患 / STAT / サイトカイン |
Research Abstract |
我々はSOCS1及びSOCS3の遺伝子欠損マウスの解析を通してSOCS1とSOCS3が免疫寛容の維持にそれぞれ重要な役割を演じていることを見出している。SOCS3に関して、SOCS3がT細胞で欠損するとTGFβ産生が亢進し抑制性のTh3(Foxp3+Treg)細胞の誘導が亢進すること、SOCS3欠損樹状細胞はFoxp3+Th3細胞を効率よく誘導しEAEモデルにおいて抗原パルスした樹状細胞が病態発症を抑制することを明らかにした。このメカニズムの一つとしてSOCS3が欠損することでSTAT3が強く活性化され、TGFβの産生が亢進することを示した。一方SOCS1のヘルパーT細胞分化への役割を明らかにするために、我々はT細胞特異的SOCS1欠損マウス(cKO)を作成、樹立した。SOCS1欠損CD4陽性T細胞は主としてThlへと分化し、Th17への分化はわずかであった。SOCSl-/-IFNγ-/-T細胞は正常にTh17に分化することから、この表現型は主としてIFN-γに依存していることが明らかとなった。SOCS1欠損T細胞ではSTAT3の活性化が減弱し、SOCS3の強い誘導が認められた。IFNγ欠損T細胞ではSOCS3の誘導は認められずSTAT3の活性化も強かった。さらにSOCS3を強制発現するT細胞ではTh17分化が抑制されEAEの発症も軽微であった。以上の結果からSTAT1により強く誘導されるSOCS3が、Th17分化が低下するメカニズムのひとつであると結論づけた。さらにSOCS1欠損T細胞ではTGFβ-Smadシグナルが障害されていた。例えばSOCS1欠損T細胞ではTGFβによるIFNγ産生の抑制効果が減弱していた。またRORγtはTGFβによって濃度依存性に誘導されるが、SOCS1欠損T細胞ではTGFβによるRORγtの誘導が障害されていた。以上の結果はSOCS1が欠損することでIFNγによるTGFβ-Smadのシグナル抑制効果が強力に現れ、SOCS1欠損T細胞においてTGFβシグナルが抑制されていることを示している。以上の結果よりSOCS1はIFNγ-STAT1経路を適切に抑制し、IL-6-STAT3経路およびTGFβ-Smad経路が正常に進行するために必要であることが明らかとなった。またIFNγ-STAT1はSOCS3の誘導を介してIL-6-STAT3経路を抑制すること、TGFβ-Smad経路の抑制には未知のメカニズムが存在することが明らかとなった。
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