2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18109005
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉村 昭彦 Keio University, 医学部, 教授 (90182815)
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Keywords | ヘルパーT細胞 / インターフェロン / SOCS / 炎症 / アレルギー / 自己免疫疾患 / STAT / サイトカイン |
Research Abstract |
本年度は脳梗塞モデルにおけるサイトカインの役割について研究を行った。最近脳梗塞における炎症においてもT細胞が促進的な役割を果たすことが明らかにされつつある。これらの炎症性T細胞の機能を抑制することができれば、新たな神経保護療法を開発できる可能性がある。そこでまず脳梗塞に対するFTY720の治療効果を検討した。FTY720は脳梗塞内へのマクロファージの浸潤は妨げないが、T細胞の浸潤を減らし、発症4日目の脳梗塞体積を有意に縮小することが分かった。したがって脳内にT細胞が浸潤することが脳梗塞の病態の進行に重要であると考えられた。つぎにどのサイトカインが重要かを調べるために、IL-23やIL-17、IFNγの遺伝子欠損マウスを用いて脳虚血モデルを作成し、脳梗塞体積を比較した。その結果、IL-23欠損マウスおよびIL-17欠損マウスで有意な梗塞体積の減少が認められた。また、IL-23欠損マウスでは虚血脳内のIL-17産生細胞が著明に減少することから、脳虚血早期にマクロファージが産生するIL-23が、脳虚血遅延期に浸潤するT細胞のIL-17産生を誘導していると考えられた。一方IL-17産生T細胞は当初想定していたTh17ではなく、γδT細胞であった。TCRγδ抗体を投与することによって体内のγδT細胞を除去すると脳内に浸潤したIL-17産生細胞は著明に減少し、脳梗塞体積も縮小した。これらの結果から脳虚血亜急性期に浸潤したγδT細胞はIL-17を産生することによって病態を悪化させていると考えられる。抗体によγδT細胞の除去は発症24時間を経過してから行った場合でも有意な神経保護効果がみられた。以上よりマクロファージ由来のIL-23がγδT細胞からのIL-17産生を刺激し神経細胞死を誘導するスキームが示された。
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