2009 Fiscal Year Annual Research Report
中高年者のこころの健康についての学際的大規模縦断研究-予防へのストラテジーの展開
Project/Area Number |
18109007
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
下方 浩史 Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center, 疫学研究部, 部長 (10226269)
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Keywords | 認知機能障害 / 知能検査 / 短期記憶 / 老化 / 性格特性 |
Research Abstract |
平成9年から2年ごとに継続して実施している無作為抽出された約2,400名の中高年地域住民を対象にしたコホート調査の結果を用いて、中高年者のこころの健康についての学際的研究を行っている。 1.データ収集及びモノグラフの作成 平成20年度に開始した第6次調査を今年度も引き続いて実施した。平成22年3月末現在1,985名の調査が終了している。平成21年9月までに終了した第6次調査の参加者1,411名のデータ照合、確認を終了し、一般成人知能検査(WAIS-R)、簡易認知機能検査(MMSE)、記銘力検査、頭部MRI検査、各種背景要因などについてまとめ、モノグラフとして和文と英文の両方でインターネット上に公開した。 2.研究成果 10年以上にわたって蓄積されたこれらのデータを用いて、地域在住の中高年者におけるこころの健康についての解析を実施している。平成21年度には中高年者の知的能力の経年変化を明らかにした。知的能力としてWAIS-Rで結晶性知能を反映する「知識」「類似」、流動性知能を反映する「絵画完成」「符号」の得点を求め解析を行った。その結果、一般的な事実についての知識量を測定する「知識」の得点は70歳代でも維持されていたが、「知識」よりも非日常的な課題とされ、抽象言語の理解力を測定する「類似」の得点は70歳代で減少を示した。また、情報処理のスピードと正確さを測定する「符号」の得点でも、60歳代、70歳代においてゆるやかに減少する傾向が認められた。 短期記憶の経時変化についても同様に解析した。短期記憶として用いた数唱(順唱、逆唱)得点は年代が高くなるにつれて低くなっており、経年変化では70代以上の高齢者で有意な低下が確認された。 この他にも中高年者の死に対する態度とNEO-FFIによる性格特性との関連について明らかにするなど、中高年者におけるこころの健康について検討を行った。
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Research Products
(1 results)