Research Abstract |
ヒューマノイドロボットの作業能力拡大を目指し,人体を背負って運ぶ,肩を貸して歩く,などの人体密着型行動や,荷物,家具,建材など,かさばる重量物を扱う力仕事,災害現場等の不整地やプラント内の狭隘空間における環境密着型の移動スキルなどの基盤技術として,全身の任意の部位において対象物や環境に接触し,それを活用することで,人体や自己のボディなどの重量物を自在に扱う行動能力の実現に向けた研究を進めている.本年度は,以下の項目について研究を実施し,成果をあげた. [特記事項]実機の構築と実験の面で当初の予想を大きく超える進展があり,これを加速するため,18年度に予定していた人間動作解析や理論構築関連部分を19年度に繰り延べ,相当分の予算と労力を当初計画では19年度に予定していた全身接触型重量物ハンドリングの初期実験に集中投入した.この結果,当該実験に限定条件下で成功を収め,世界初の成果を挙げて報道等でも大きく取り上げられた.具体的には,机上に置かれた30kgの箱を,触覚により状態検知しつつ引き寄せ,抱え上げる動作,ならびに,台上で,両腕上に置かれた66kgのダミー人形を,触覚で垂直抗力を制御しつつ一気に引き寄せる動作に成功した.成果は,NHK, TBS,各新聞,および海外メディアで報道された.現在論文投稿中である. [研究実績]「全身接触動作可能なヒューマノイドロボットシステムの構築」では,分布触覚センサの改良と柔軟外装を含めた製作を行い,既有設備である等身大ヒューマノイドロボットのほぼ全表面を覆いつくす実装を行った.当初計画より大幅に先行し,触覚点数1864という,世界で他に例を見ない全身分布触覚を実現した.「ヒューマノイドロボット全身分布触覚の情報処理手法の構築」では,分布触覚データのパターン認識手法や,一定条件下での外力推定手法を構築し,上記重量物操作実験に適用した.「全身ダイナミック接触動作の制御手法の構築」では,限定状況に関して触覚情報を利用した力学状態推定とそれに基づく動作制御法を構築し,これに基づき上記重量物操作実験を実現した.「ヒューマノイドロボットによる全身ダイナミック接触動作の実験」では,重量物操作において,腰部で机の縁に接触して身体を支持する動作を実現し,また,椅子への着座動作,壁への寄りかかりなども実現した.
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