2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18200021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒田 真也 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (50273850)
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Keywords | ERK / システム生物学 / シグナル伝達 / シミュレーションモデル |
Research Abstract |
ERK経路は極めて多彩な生命現象を制御する。このように同じ分子ネットワークを用いて異なる作用を制御する点がシグナル伝達機構の本質的な特徴である。例えば、PC12細胞では同じERK分子が一過性あるいは持続性に活性化することで、それぞれ細胞の増殖あるいは分化という異なる細胞運命を導く。私たちは、すでに増殖因子刺激の投与速度と濃度情報がそれぞれ一過性および持続性のERKの活性化に変換されることを見出している。本研究では、上記概念を発展させて、刺激の時間パターン情報を、ERKの活性化へ変換して細胞の増殖や分化といった異なる応答を制御するコードメカニズムを明らかにすることを目的とした。 通常、NGF刺激実験は、一定の濃度のNGF刺激を与え続けるstep刺激を用いるが、step刺激によるERK活性化は一過性、持続性の両方の波形を持つため、それぞれの波形特異的な遺伝子発現を観察できない。そこで、NGF刺激を短時間加え、一定時間後に刺激を抜くimpulse刺激(一過性ERKに対応)を、また入力刺激を徐々に上昇させてゆくramp刺激(持続性ERKに対応)を用いて細胞分化の指標である神経様突起伸展を計測した。NGF impulse刺激では、刺激時間を短縮するにつれ神経様突起の伸展が見られなくなった。NGF ramp刺激では、同終濃度のstep刺激の結果と比較して、検討した全ての濃度条件で伸展が低くなった。また、impulseおよびramp刺激で、それぞれ一過性、持続性のみのERK波形も確認した。したがって、これらの結果は、細胞分化にはERKの一過性と持続性の両方が重要であることを示唆しており、従来考えられていたより複雑なデコードシステムの存在が示唆された。
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Research Products
(1 results)