2008 Fiscal Year Annual Research Report
眼球サッケード運動制御と注意に関わる神経回路機能の多次元的理解
Project/Area Number |
18200027
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
伊佐 正 National Institute for Physiological Sciences, 発達生理学研究系, 教授 (20212805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田 勝幸 生理学研究所, 発達生理学研究系, 助教 (30421366)
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Keywords | 上丘 / サッケード / スライス / フィールド電位 / マウス / 黒質 |
Research Abstract |
中脳上丘の局所神経回路の構造と機能を理解するため、マウスの急性スライス標本において解析を行った。既にこれまでに視覚入力部位である浅層から運動出力部位である中間・深層への信号の流れがあること、さらにそれがGABA作動性抑制を除くことで増強されることが示されていたが、それがどのような時空間的特性を有するのかが明らかでなかった。そこで上丘スライスを150ミクロン間隔で8x8に配置された64チャンネルのフィールド電気記録用の電極を搭載したdishの上に載せ、そして浅層に電気刺激を加えたところ、通常のリンゲル液の中では弱い陰性のフィールド電位が浅層の中においてのみ記録されたが、外液中にbicuculline 10μMを投与するとまず、浅層で広範囲に陰性波が生じ、その際には中間層においては反転したかたちで陽性波が記録される。その後信号が中間・深層に伝播されるとともに長く持続する陰性波が水平方向で500ミクロン以上の幅広い範囲で生じ、次第により深層に伝播されていくことが明らかになった。(Phongphanphanee et al.J Neurosci 2008)。 一方、上丘の中間層へは黒質網様部よりGABA作動性入力があることが知られているが、これまで主に興奮性の出力細胞に入力するものと考えられてきた。それに対して今回我々は、GABAニューロンが蛍光を発するGAD67-GFPノックインマウスを用いてwhole cell記録法によって解析したところ、局所で結合を作る抑制性ニューロンに対しても黒質からの入力が入ることが明らかになった。この結果から、大脳基底核による上丘の制御は単に指向運動の開始を制御しているだけでなく、活動の時空間特性などをも制御している可能性が示唆された。(Kaneda et al.J Neurosci,2008)
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Research Products
(17 results)