2006 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞のイオンチャネルを介した血流センシング機構
Project/Area Number |
18200030
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安藤 譲二 東京大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20159528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 希美子 東京大学, 大学院医学系研究科, 講師 (00323618)
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Keywords | 血管 / 血流 / 剪断応力 / 内皮細胞 / カルシウム・イオン / ATP / 遺伝子血管マウス |
Research Abstract |
1.P2X4を介した剪断応力のカルシウム・シグナリングに関する実験:内皮細胞に流れ剪断応力を作用させると即座に細胞内カルシウム濃度の上昇反応が現れる。これは内皮細胞膜に発現するATP作動性カチオンチャネルのP2X4を介したカルシウム流入反応であるが、本年度の検討により、剪断応力によるP2X4の活性化に内皮細胞から放出されるATPが重要な役割を果たしていることが明らかになった。内皮細胞に剪断応力が作用するとその強さ依存性にATPが放出され、その放出を抑えるとP2X4を介したカルシウム流入反応が抑えられた。 2.P2X4の遺伝子欠損マウスに関する実験:本年度は勇断応力のトランスジューサーとして働くP2X4の発現をノックアウトしたときの影響を細胞・個体レベルで検討した。その結果、遺伝子欠損マウスから培養した血管内皮細胞は剪断応力に対するカルシウム反応が消失し、剪断応力が引き起こす血管拡張物質・一酸化窒素(NO)の産生も著明に減弱していた。また、摘出した腸間膜動脈をカニュレーションした灌流実験で正常マウスではアセチルコリン、ATP、流量増加(剪断応力負荷)に対して血管径は拡張を示したが、P2X4遺伝子欠損マウスではアセチルコリンによる血管径の拡張反応が見られたが、ATPや剪断応力負荷に対しては拡張反応が起こらなかった。これらの所見から、P2X4が欠損すると剪断応力の情報伝達(カルシウム・シグナリング)が起こらず、NO産生が障害を受けて血管の拡張反応に異常が生じることが示された。
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Research Products
(7 results)