2009 Fiscal Year Annual Research Report
電気刺激とボツリヌストキシンの併用による神経調整的治療体系の確立
Project/Area Number |
18200037
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
関 和則 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (20206618)
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Keywords | 電気刺激 / ボツリヌストキシン / 痙性麻痺 / 疼痛 / 神経因性膀胱 |
Research Abstract |
本年度は以下の3点について成果を得た。 1)上肢痙性麻痺に対する治療 昨年度に続いてボツリヌス単独治療を実施し、計6名でデータ収集を完了した。電気刺激との併用療法と比較した場合、痙縮は単独治療でも軽減するが、長期間における麻痺上肢の機能回復は、併用療法の場合にのみ得られることが判明した。この結果は2010年度の日本リハビリテーション医学会等で報告し、論文にまとめる予定である。片麻痺上肢の機能回復については、視覚入力と電気刺激による固有感覚入力が、上肢支配の脳内神経回路の再構築に強い影響をもたらすことを明らかにした。この結果は国際FES学会で報告し学会賞を受賞した。 2)下肢痙性麻痺に対する治療 下肢の痙性麻痺に対する電気刺激では、大腿四頭筋刺激による痙縮軽減と筋活動向上が、痙性麻痺患者の歩容改善をもたらすことを明らかにした論文が、日本生体医工学会誌に掲載された。また痙縮軽減を目的としたペダリング運動が、電気刺激と同様に痙性麻痺患者の筋活動を活性化することも明らかとなり、Tohoku Journal of Experimental Medicine誌に掲載された。 3)神経因性膀胱に対する治療 難治性過活動膀胱患者2名で、膀胱粘膜および筋層へのボツリヌス注射を行い、単独治療と電気刺激との併用療法を比較したところ、注射後3か月までの効果に差はないものの、6か月での尿失禁は併用療法の方が少なく、併用療法では10か月時点でも効果が持続していた。単独治療と併用治療に関する、効果持続期間の比較についてはこれまで報告がなく、今後国際学会での発表、論文作成等によって成果を公表する。また仙骨部電気刺激治療の効果発現に関する脳内機構を、脳磁図を用いて解明した論文が、Journal of Clinical Neuroscience誌に掲載された。
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Research Products
(10 results)