2009 Fiscal Year Annual Research Report
環境同位体トレーサビリティー法を用いた陸域-淡水域生態系変化の原因解明
Project/Area Number |
18201004
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
中野 孝教 Research Institute for Humanity and Nature, 研究推進戦略センター, 教授 (20155782)
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Keywords | トレーサビリティー / 安定同位体 / 琵琶湖 / イバラトミヨ / 生息域 / カワウ / 汽車ヤスデ / 動物行動 |
Research Abstract |
本研究の目的は、各種の安定同位体手法を統合し、淡水域および陸域の生態系に横断的に適用することにより、環境質全体の動態の基盤情報となる「環境トレーサビリティー手法」の開発を目的としている。平成20年度ますに確立した安定同位体手法を適用し、以下の成果を得た。 (1)琵琶湖流域で湖東平野の農業活動が河川および湖水の水質と同時に生物の質を変えていることを、ストロンチウムや硫黄の同位体を用いて明らかにし報告した。また琵琶湖で大きな問題になっているカワウの餌が、湖内の魚であることをSr同位体比からも明らかにした。 (2)山形県や愛媛県の湧水および河川-地下水系に応用し、淡水魚の生息範囲や行動の追跡、海底湧水の生物影響評価できることを明らかにした。とくに、淡水保全の象徴であるイバラトミヨに応用した結果、その生息域が非常に狭い範囲に限定されていることを明らかにし、Sr同位体手法が生物の縄張り域の評価に適用可能なことを示し報告した。 (3)コイのSrの50%程度は餌による可能性を指摘し、魚に含まれるカルシウムに対する餌の影響評価にSr同位体が利用できることを明らかにした。また地質時代のサンゴの分析から、第四紀を通した海水のSr同位体比は0.00001以内と均質な事を報告した。 (4)土壌系では、8年ごとに大発生する長野県八ヶ岳地域の汽車ヤスデにSr同位体手法の応用を図った。その結果、汽車ヤスデは7齢まではその行動が非常に狭い範囲に限定されること、いっぽう8齢の時期には活発に移動することを明らかにし、生態学的観察と良い一致を示すことを確認した。 (5)中国からの越境汚染の影響を強く受けている屋久島や対馬において研究を行った。対馬については、基盤の岩石の安定同位体情報を専門誌にまとめたが、越境汚染の水と生き物への影響評価を行う上で、鉛の安定同位体が有効であることを確認した。
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[Journal Article]2010
Author(s)
中野孝教
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Journal Title
地球環境のトレーサビリティー. 安定同位体というメガネ(和田英太郎・神松幸弘編)(昭和堂)
Pages: 59-100
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[Journal Article] Onset of seawater ^<87>Sr/^<86>Sr excursion prior to Cenomanian-Turonian oceanic anoxic event? new Cretaceous strontium isotope curve from the central Pacific ocean2009
Author(s)
Ando, A., Nakano, T., Kaiho, K., Kobayashi, T., Kokado, E., Khim, B-K
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Journal Title
Journal of Foraminiferal Research 39
Pages: 322-334
Peer Reviewed
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[Journal Article] Isotopic investigations for the origin of relic from the Matsusaki site, Japan2009
Author(s)
Nakano-Ohta, N., Kubota, T, Ando, A., Fujii, T, Fukutani, S, Nakata, E, Nakano, T, Mahara, Y.
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Journal Title
Applied Radiation and Isotopes 67
Pages: 1479-1483
Peer Reviewed
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[Journal Article] A strontium isotope analysis on the relationship between ritual tooth ablation and migration among the Jomon people in Japan2009
Author(s)
Kusaka S, Ando A, Nakano, T, Yumoto T., Ishimaru E., Yoneda M., Hyodo, F., Katayama, K.
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Journal Title
Journal of Archaeological Science 36
Pages: 2289-2297
Peer Reviewed
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