2008 Fiscal Year Annual Research Report
放射線発がんプロセスにみられる遺伝子変異と発がん宿主要因の遺伝解析
Project/Area Number |
18201009
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
木南 凌 Niigata University, 医歯学系, 教授 (40133615)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三嶋 行雄 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (30166003)
葛城 美徳 新潟大学, 医歯学系, 助教 (60401759)
廣瀬 哲史 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10415276)
小幡 美貴 新潟大学, 医歯学系, 教務職員 (00420307)
|
Keywords | がん抑制遺伝子 / 細胞増殖 / アポトーシス / リンパ腫 / Bcl11b遺伝子 |
Research Abstract |
1.マウス5番染色体上に存在するがん感受性遺伝子座を4Mb領域内にまで限定した。データベース検索から、発がん感受性遺伝子候補として、Ssh1とSirt4を選択した。前者では1042個中1034番目のアミノ酸置換が、後者では333個中106番目のアミノ酸が終止コドンとなっていた。これらの変異はUniProt解析からタンパク質の機能に直接影響を及ぼす可能性の高いnonsynonymous SNPsであることが明らかとなった。 2.放射線照射後の萎縮胸腺内前リンパ腫細胞の特徴を解析した。照射後40日でも約40%の萎縮胸腺でクローナル増殖する細胞が観察され、しかもCD4/CD8-DP段階で分化を停止した状態であった。興味深いことに、このクローナル増殖を示す前がん細胞のみならず、分化能を保持した胸腺細胞においてもBcl11bがん抑制遺伝子座でアリル消失が高頻度に検出された。この結果は、Bcl11bのアリル消失が未分化胸腺細胞で起こり、細胞増殖能の付与に関与することを示唆する。分化能を保持し、クローナル増殖を示す血液前がん細胞としてCMLが知られており、そのモデルとしての可能性を示す。 3.モデルマウスを用いた研究から、Bcl11bが腸管腫瘍の発生に関与することが明らかとなった。そこで、ヒト大腸がんDNAでBcl11b変異の有無を解析した。その結果、2/20の頻度で変異を発見した。進化的に保存されたアミノ酸の置換とのフレームシフト変異であった。野生型のアレルは保持され、これはハプロ不全として寄与する可能性を示す。このことは、ヒト大腸がん発症のリスク因子を考える上で重要である。
|