2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝毒性物質の閾値形成におけるトランスリージョンDNA合成の役割に関する研究
Project/Area Number |
18201010
|
Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
能美 健彦 国立医薬品食品衛生研究所, 変異遺伝部, 室長 (30150890)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増村 健一 国立医薬品食品衛生研究所, 変異遺伝部, 主任研究官 (40291116)
|
Keywords | 遺伝毒性の閾値 / 有害化学物質 / 遺伝子 / 環境 / 癌 |
Research Abstract |
近年、損傷DNAを鋳型として複製することのできる新規なDNAポリメラーゼが見出され、損傷を乗り越えるDNA合成(トランスリージョンDNA合成、以下TLSと略)に関与することからTLS型DNAポリメラーゼと呼ばれている。TLS型DNAポリメラーゼは主に遺伝毒性の回避に関与し、その欠損細胞は遺伝毒性物質に高い感受性を示すことが予想される。本研究では、TLS型DNAポリメラーゼの一つであるDNAポリメラーゼκ(以下Polkと略)の機能解析を行い、低濃度での毒性を高感度に検出するマウス個体とヒト細胞の遺伝毒性検出系を確立する。 初年度は(1)ヒトPolkの生化学的機能解析と(2)Polkの活性中心部に変異を導入したノックインマウス(ヘテロ)の作製を行った。 (1)ヒトPolkはbenzo[a]pyrene diolepoxide(以下BPDEと略)が付加した鋳型/プライマーDNAに強く結合した。ヒトPolkの大腸菌ホモローグであるDinBについては、13番目のphenylalanineがBPDEのTLSに重要な役割をはたしていると報告されている。そこでPolkの対応するアミノ酸(Y112)を他のアミノ酸に変え、BPDE oligonucleotideに対する結合を測定した。だが変異体は野生型と同様に強い結合を示し、鋳型鎖上のBPDEを乗り越えるTLS活性も野生型より高い値を示した。以上の結果から、大腸菌DinBとは異なり、ヒトPolkではY112以外のアミノ酸がBPDEとの相互作用に関与しているものと結論した。 (2)Polkの活性中心部に存在する198番目のaspartic acidと199番目のglutamic acidをalanineに置換するターゲティングベクターを作製し、これをC57BL/6マウスのES細胞にトランスフェクションして、染色体上の当該部位に目的の変異を持つクローンを得た。これをマウス受精卵へ導入し、キメラマウスを作製した。野生型マウスと交配させ仔の遺伝子型を解析し、導入した変異をヘテロに持つマウス個体を確認した。
|
Research Products
(21 results)