2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノチューブ内に束縛された原子・分子の構造制御と物性研究
Project/Area Number |
18201017
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
片浦 弘道 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, ナノテクノロジー研究部門, 研究グループ長 (30194757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 晋 筑波大学, 数理物質科学研究科, 准教授 (70302388)
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Keywords | 単層カーボンナノチューブ / 分子内包 / ピーポッド / フォトルミネッセンス / エネルギー移動 |
Research Abstract |
単層カーボンナノチューブ(SWCNT)に内包された分子は、擬1次元空間への束縛により、フリーな3次元空間とは異なった特異な構造・物性を示す事が期待され、実際これまでにいくつかの代表的な結果が得られている。しかし、SWCNTは単に擬1次元の空間を与えるだけでなく、内部の分子と外界を遮断する効果もあり、たとえば、大気中では不安定な分子もSWCNT内に挿入することにより、安定化する事もわかっている。 そこで、今年度は、グローブボックスを導入し、空気中では不安定な分子の内包処理を行う設備を整えた。一方、SWCNTをナノサイズの試験管として考え、積極的に内部で反応を起こさせた場合、どのような現象が生じるのかも極めて興味深い。そこで、比較的反応性の高いセリウム有機化合物であるセロセンをSWCNT内に挿入し、加熱処理によりどのような変化が生じるか、詳細に検討をおこなった。その結果、セロセン入りSWCNTを加熱する事により、極めて興味深い電荷移動の振る舞いを観測することに成功した。セロセンをSWCNTに挿入しただけでは、ほとんど電荷移動が生じない事は、X線光電子分光で観測されるC1sピークがシフトしない事からわかる。しかし、熱処理を施すことにより、有機物はSWCNT内部にCNTが形成され、2層CNT構造となった。さらに、その内部に金属セリウムが析出ししていることが高分解能透過型電子顕微鏡観察により明らかになった。この試料の光電子分光、X線吸収から、電荷移動により生じた伝導電子によるcore holeポテンシャルの遮蔽効果が顕著であることがわかった。
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Research Products
(16 results)