2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18201018
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Research Institution | NTT Basic Research Laboratories |
Principal Investigator |
仙場 浩一 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 主幹研究員 (50393773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 浩司 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 特別研究員 (60374071)
中ノ 勇人 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 主任研究員 (60393774)
田中 弘隆 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 研究主任 (80393776)
齋藤 志郎 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 研究主任 (90393777)
角柳 孝輔 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 社員 (40417093)
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Keywords | 人工原子 / 超伝導量子ビット / ナノメカニカル共振器 / cavity QED / circuit QED / ジョセフソン量子回路 / 超伝導LC回路 / Lorentz力 |
Research Abstract |
本研究の目的は、超伝導人工原子(量子ビット>を用いてチップ上での量子力学基礎実験を行うことである。今年度は、実験準備の一環として、磁束量子ビット・超伝導LC共振回路系における真空ラビ振動の実験を行い、この系がcircuit QED実験実現の鍵を握る強結合条件を十分満たしていることを確認した。また、真空ラビ振動の素過程を複数回連続して実行し、LC共振量子との量子もつれに起因した磁束量子ビットの量子振動を時間領域で観測することにより、LC回路の緩和時間が系全体のコヒーレンス時間を制限していることが判明した。この知見を今後の試料設計に反映させ、磁束量子ビット・超伝導LC共振回路系全体のコヒーレンス特性の改善を図る予定である。 最適動作点(バイアス磁束)付近での緩和時間の精密測定により、量子ビットのコヒーレンス阻害要因の解明を試みた。その結果、最適動作点近傍では、コヒーレンス時間を制限している最大の要因は、磁束量子ビットのエネルギー緩和過程であり、さらに1/fの周波数依存性をもつ磁束ゆらぎが位相緩和の主因であることがほぼ確実と判明した。この結果は、Phys. Rev. Lett.誌に発表した。この知見は、量子ビットのコヒーレンス時間を改善するための重要な指針を与えるものである。 超伝導人工原子・ナノ構造体結合系の研究に関しては、今年度は主に中国科学院理論物理研究所との共同研究による新規理論提案を行った。従来、見逃されていたLorentz力を仲介とするナノメカニカル共振器・超伝導磁束量子ビット系での量子もつれ観測実験の新たな提案を、New J. Phys.誌に発表した。提案した、Lorentz力を仲介とする結合を用いることにより、現在の技術で実現可能な試料を用いて、ナノメカニカル共振器・超伝導磁束量子ビット系でのcircuit QED実験実現の鍵を握る強結合条件を実現することが可能となる。
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