2008 Fiscal Year Annual Research Report
世界最大の表面積とミクロ孔容積をもつナノカーボンによるエネルギー貯蔵材料創製
Project/Area Number |
18201020
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
京谷 隆 Tohoku University, 多元物質科学研究所, 教授 (90153238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西原 洋知 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80400430)
折笠 広典 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (90375163)
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Keywords | ナノカーボン / エネルギー貯蔵材料 / ゼオライト / 鋳型法 / ミクロ孔 |
Research Abstract |
本研究代表者はゼオライトのナノ構造を反映したカーボンネットワーク構造体を世界で初めて合成した。最終年度である本年度は電気二重層キャパシタにとくに焦点を当て、カーボン細孔構造と電気二重層キャパシタのパフォーマンスとの関係を科学的に理解することに重点を置いた。まず、鋳型の種類やサイズ、さらにカーボン堆積条件などを変化させることで、様々な3次元規則性カーボンネットワーク構造をもつナノカーボンを合成した。各種ゼオライト鋳型炭素について、電流密度を20A/gまで増加させた場合の容量特性について調べた。一般のミクロポーラスカーボンは電流密度を増加させると急激に容量が減少し、特に10A/g以上の電流密度ではIRドロップが非常に大きくなるため、静電容量を算出することができなかった。このことから活性炭などの一般的なミクロポーラスカーボンは高速充放電には適していないことが分かる。メソ孔を有する活性炭では電流密度の増加に伴う容量の減少率はミクロポーラスカーボンに比べて小さいものの、20A/gでは0.05A/g時の40%程度まで容量が低下する。このことから、メソ孔の導入は高速充放電特性の向上に有効であるが、それでもある程度の容量低下は避けられないといえる。一方、各種ゼオライト鋳型炭素は20A/g充放電時において0.05A/g時の60%〜80%の容量が得られた。ゼオライト鋳型炭素は細孔径約1.2nmのミクロポーラスカーボンであるが、活性炭のような乱雑で行き止まりのある細孔構造ではなく、ミクロ孔が三次元的に整然と配列し、粒子を貫通している細孔構造を有しているため、粒子内部におけるイオンの移動抵抗が小さく、高電流密度でも容量が保たれるのだと考えられる。つまり、出力特性を向上させるためには、細孔径を単に大きくするだけではなく、細孔の連結構造や配列の制御も極めて重要であることがわかった.
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