2009 Fiscal Year Annual Research Report
医療におけるリスク・患者安全管理の確立:患者視点の導入と安全文化・学習文化の醸成
Project/Area Number |
18201029
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 謙治 Tokyo Institute of Technology, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (80159871)
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Keywords | 安全文化 / 患者安全 / リスク管理 / ヒューマン・エラー / インシデント・レポート / 国際比較 / 報告文化 / 患者調査 |
Research Abstract |
本年度は、安全文化と実際の安全レベルとの関係を明確にし、安全文化に大きく影響を与える可能性のある医療制度・医療システムとの関係性を考察した。これとともに、安全文化の国際比較として中国の病院を対象として実施し、さらに医療安全に対する患者の認識・要望に関する調査(「患者調査」)についても中国の3病院の患者からのデータにより国際比較研究を実施した。以下、今年度の主な成果を記述する。 (1)各国の医療制度と安全文化の関係の比較調査:デンマーク、および中国などと、我が国の医療制度、医療システムを比較し、国の文化の相違のほか、インシデント報告システムの形態の違い、無過失補償・不平要求システムの有無などが、医療安全文化に大きく関わっていることがわかった。 (2)安全文化と安全レベルの関係解明:これまで安全文化調査を実施した我が国の病院から事故・インシデントの発生件数データと相関分析を行った結果、特にコミュニケーション・コーディネーション、ストレス・ワークロードに対する態度、自己の能力に対する意識、協調的態度、および非懲罰的傾向が事故リスクに影響を与えていることが明らかになった。 (3)医療安全文化に関する国際調査:医療安全文化について中国と国際比較を行った結果、我が国の医療安全文化が概ねポジティブであった。しかし、モチベーションに関しては中国人の医療従事者の方が日本人より高い。 (4)医療安全に対する患者の認識・要望に関する国際調査:「患者調査」を中国で実施した結果、日本人より中国の患者が医療事故後の医師の情報開示、患者への対応に対してより疑い深いことがわかった。患者への謝罪に対する受け入れについては、日本人、中国人患者とも、病院側の責任も認める明確な謝罪とともに再発防止対策を約束するというものがもっとも効果的で、哀れみの言葉だけを掛けるという「部分的謝罪」が最も悪いという共通の傾向が見られた。
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[Journal Article]2010
Author(s)
Xiuzhu Gu, Kenji Itoh
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Journal Title
Lecture Notes in Computer Science, Human Error, Safety and Systems Development(Springer-Verlag)
Pages: 44-53
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