2006 Fiscal Year Annual Research Report
構造調整をふまえた東アジア経済法の新段階へ:共同体を先取りするモデル競争法の提言
Project/Area Number |
18203004
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
稗貫 俊文 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (70113610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 誠 千葉大学, 大学院専門法務研究科, 教授 (20334162)
瀬領 真悟 同志社大学, 法学部, 教授 (90192624)
須網 隆夫 早稲田大学, 大学院法務研究科, 教授 (80262418)
中山 武憲 名古屋経済大学, 法学部, 教授 (40278388)
向田 直範 北海学園大学, 法学部, 教授 (90104695)
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Keywords | 東アジア自由貿易協定(FTAs) / グローバル経済 / 東アジア共同市場 / 所得の再分配 / 東アジア法文化 / 構造調整 / 競争原理 / 官製談合 |
Research Abstract |
競争法が東アジア共同体を作るという考え方のもと、第一に、アジアからみた日本の経済法(競争法)の特徴を分析し、第二に、東アジア共同体と競争法の関係を検討した。そして、第三に、東アジア法文化と競争原理の関係の解明を試みた。具体的には以下の通りである。第一に、アジアからみた日本の経済法(競争法)の特徴を概観するため、日本の独禁法の実体規定の構造的な特徴を取り上げた。そして、最近の官製談合規制を取り上げて、日本経済のカルテル・談合体質を批判的に検討した。第二の東アジア共同体と競争法の関係では、次のような個別課題を検討した。韓国の研究者の「東アジア共同市場の形成と競争法の課題」という基調報告をふまえて、共同体の役割に関する議論を、東アジア地域統合に向けた競争法の創造的な役割の期待として、東アジア共同市場に対する競争法の役割が逆にその競争法への有益な影響を与えるものとして検討した。また東アジア経済統合の現実的な展望とその法的諸問題として、FTAための日韓の政治・行政システムの課題を明らかにし、これらを総括して私たちの経済法研究の新段階、東アジア自由貿易協定(FTAs)のために必要になる東アジア経済の構造調整に対する課題をまとめた。第三に、東アジア法文化と競争原理の関係を解明する試みとして、日韓両国の文化的特性の相異を検討し、その経済法法制への影響を詳細に検討した。また、民営化、知的財産、中小企業に焦点を絞った独占行為規制の有効性を日韓比較として行い、外見的な規制方法の相異とは異なり、意外にも、きわめて類似した規制を行っていることを明らかにした。これをもとに東アジアの共通の競争原理の一端として特徴づける試みを行った。総じて、新たな所得の再分配をめぐる東アジア法文化の形成を提唱し、グローバル経済の荒波を受け止める東アジア共同体の防波堤の意義を確認した。
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Research Products
(45 results)