2009 Fiscal Year Annual Research Report
構造調整をふまえた東アジア経済法の新段階へ:共同体を先取りするモデル競争法の提言
Project/Area Number |
18203004
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
稗貫 俊文 Hokkaido University, 大学院・法学研究科, 教授 (70113610)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 誠 千葉大学, 大学院・専門法務研究科, 教授 (20334162)
瀬領 真悟 同志社大学, 法学部, 教授 (90192624)
須網 隆夫 早稲田大学, 大学院・法務研究科, 教授 (80262418)
中山 武憲 名古屋経済大学, 法学部, 教授 (40278388)
向田 直範 北海学園大学, 法学部, 教授 (90104695)
|
Keywords | 自由競争 / 公正競争 / 世界不況 / 東アジア競争法 / 小さな司法 / 大きな政府 / 儒教文化 / WTO |
Research Abstract |
今年度は、第1に、研究計画に沿って、共通モデル法の構築のための研究の取りまとめに向けられた。第2に、予期できなかった世界的な金融不況の発生に対して、東アジア共同体が存在していれば共同の対応が可能となったはずの東アジア経済法の課題を明らかにする課題も取り上げた。 まず、平成21年6月4日に、研究代表者の稗貫が、公正取引委員会に属する競争政策研究センターにおいて、これまでの研究成果を公表する公開セミナー「東アジア競争法の研究からえられるもの」という講演をした(後述)。 10月30日と31日は、上海と杭州で開催された東アジア経済法フォーラム(上海華東政法大学・徐士英教授の主催)に、研究代表者の稗貫と研究分担者の瀬領真悟教授(同志社大学)が参加して、中国、台湾、韓国の競争法の課題について議論した。 11月22日、23日は、台湾の高雄大学で、東アジア経済法のシンポジウムを開催した(主催者は研究代表の稗貫俊文)。ここでは、共通競争法の課題のほか、世界的な金融不況の発生に対する東アジア各国の経済法・競争法の対応、保護貿易主義の台頭を警戒するWTOの取り組み、東アジアで共同の取り組みを行うための課題などが台湾、韓国、香港、日本、タイの学者の間で議論された。 今年度、そして四年間の研究をとりまとめれば上記の稗貫講演に帰着する。即ち、東アジア経済法・競争法が対象とする社会と経済の特徴は、(1)競争制限の原因に行政権が関与していることが多い、(2)自由競争よりも公正競争が理解され支持されやすい、(3)行政権の裁量的権限が強く、その法的統制が弱い、(4)司法権は弱く、時に腐敗している、(5)経済法・競争法の領域では儒教文化の影響は予想していたよりも弱い、と。この様な特徴を東アジア共通競争法を構築するための弱点とみず、むしろ積極的に引き受けて行くことを提言する。
|
Research Products
(37 results)