2008 Fiscal Year Annual Research Report
複雑適応系としての集積とイノベーションの場の動学的研究
Project/Area Number |
18203016
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
藤田 昌久 Konan University, 学長直属, 特別客員教授 (90281112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 和雄 京都大学, 経済研究所, 教授 (60145654)
藤本 隆宏 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (90229047)
森 知也 京都大学, 経済研究所, 准教授 (70283679)
濱口 伸明 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (70379460)
村田 安寧 日本大学, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (40336508)
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Keywords | 空間経済学 / 複雑適応系 / 集積 / イノベーション / 知識創造 / 都市 / 国際地域経済 / 経済成長 |
Research Abstract |
広い意味でのイノベーションないし知識創造活動に焦点を当て、その舞台となる様々な「場」およびその母体となる都市や産業集積の形成と内生的発展のミクロプロセスを、複雑適応系モデルの観点から多角的かつ統一的に分析することにより、「空間経済学」の格段の発展を達成することを目的として、三年計画の最終年度の研究を遂行した。 具体的には、藤田は、知識の創造・学習・伝播のミクロプロセスを複雑適応系としてモデル化し、知識労働者の多様性と創造性のダイナミズムを分析した。さらに、多地域モデルへと拡張し、地域間における文化の多様性の形成過程を分析した。西村は動学的均衡モデルにおいて、経済主体が外部性の影響を受ける場合における複数経路現象について解明するとともに、多国間モデルへの拡張を行った。藤本は、産業競争力に与える影響について、設計立地の比較優位を念頭に置きつつ実証的に検討した。この結果、従来バラバラであった品質管理、デジタル設計、モジュール化などの工学系ツールの間に相互調整の動きが見られることがわかった。森は事業所立地データを用いて産業内と産業間集積の手法を整備するとともに、1980年と2000年における日本での製造業の集積パターンを分析した。また、日本の都市群における人口規模と産業の多様性の間の強い相関関係を示した。濱口は東アジアにおける地域統合の進展とともに、域内分業の発展が国家間の所得格差を縮小させた一方で、各国内での産業集積の進展が地域間所得の拡大を引き起こしたことを明らかにした。また、山本は多国籍企業間での水平的合併について理論的に分析し、合併における貿易障壁および生産性格差の影響を調べるとともに、企業間合併の経済厚生について分析した。
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