2009 Fiscal Year Annual Research Report
内生的時間選好を導入した国際貿易・投資の動学的一般均衡理論の確立
Project/Area Number |
18203017
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
趙 来春 Kobe University, 経済経営研究所, 教授 (70261394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 徹 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (40263363)
土居 潤子 関西大学, 経済学部, 准教授 (00367947)
胡 云芳 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (30379466)
上東 貴志 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (30324908)
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Keywords | Economic Dynamics / Trade / Outsourcing / Immigration / Tine Preference / Innovation |
Research Abstract |
趙:今年度は2国2財2要素2期間生きる個人を考えたOLGモデルを構築して、高齢化が貿易パターンと貿易による利益をどのように決定するかを検討した。第一に、少子高齢化国は資本集約財に生産を集中し、この財を輸出するため、長期的に見ると、ますます小国となる傾向がある。それに対し、より若い国はますます大きくなり、労働集約財を生産・輸出し、最終的に世界価格を支配することが分かる。第二に、そこでは、ある適切な補償計画を適用すれば、自由貿易を行った方が、どちらの国も自給自足経済よりも厚生が高くなることが明らかになった。これらの成果は、少子高齢化が進む日本に対して、厚生を上げるための政策を提言しているといえる。 菊地:各国間に存在する時間差、すなわちタイムゾーン格差を利用したサービス貿易に関する研究を重点的に行った。そこでは、インターネット等のコミュニケーションネットワークを活用した場合、従来の考え方では貿易の阻害要因であったタイムゾーン格差を利用した新たなタイプの貿易ができることが明らかとなった。また、実際の産業活動に関連する文献の渉猟から、タイムゾーン格差の利用がソフトウエア開発等多くの分野で進みつつあることを明らかにした。 土居:国際的労働移動によって受け入れ国にどのような影響が及ぼされるのかについて、世代重複モデルを構築して議論を行った。外国人労働者が受け入れ国の労働としてすぐに同化しない場合、規模効果、生産性効果を通じて、受け入れ国の国民の受ける影響について明らかにした。特に、自分の所属する世代やSkillに応じてどのように影響が異なるか、を明らかにした。さらに、新たな研究として、Giffen財が生じる場合、国際貿易にどのような影響を与えるかについて分析を開始した。 胡:動学的一般均衡モデルを用い、開放経済における一国の経済政策について考察してきた。前年度に続き、非市場経済活助の中心である家計の生産活動に注目し、財政政策や貿易政策が家庭内生産と家計の労働供給に与える効果についても検討をした、研究結果を近い将来に国際学会で報告する予定である。また、経済発展の初期における最適な産業政策について考察し、研究論文を発表した。貿易構造と経済動学の関係についても考察し、財・金融市場の国際市場への開放のTimingにより一国経済への動学的影響を分析し、マクロ経済政策に建言する可能性を示した。 上東:割引率が異なる2国による経済において、資本が一方に集中しないような定常状態が存在することを示した。この結果を導く際に、資本が一方の国に集中した場合には、その国がマーケットパワーを得るという点に着目した。さらに、割引率が異なり得る2国が相手国からの輸入に課す関税率を設定しあう繰り返しゲーム、およびそのゲームを一般化したモデルを分析した。一般化されたモデルにおいて、あるタイプのサブゲームパーフェクト均衡を完全に特徴付けた。
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Research Products
(14 results)