2006 Fiscal Year Annual Research Report
発達移行期の不適応行動に関する発達精神病理学的研究:マルチコ-ホートの追跡から
Project/Area Number |
18203034
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
菅原 ますみ お茶の水女子大学, 人間文化研究科, 教授 (20211302)
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Keywords | 生涯発達 / 不適応行動 / コーホート研究 / 発達精神病理学 / 発達移行期 |
Research Abstract |
子どもたちの健やかな心の発達を保障していくためには、その発達過程において、いつ、どのような不適応的な精神症状や問題行動が、どのようなメカニズムで発現し、どういった介入(treatment)によってそれらを適切な方向に動かしてさらなる発達につなげていくことができるのかを科学的に解明していくことが必要である。子ども期を含め人の一生のなかで出現する多くの精神疾患や問題行動にはその発現要因として環境ストレスが深く関与しており、個体側の持つ素因的脆弱性(vulnerability)との交互作用によってそれぞれの発現危険性が増減する。とくに入園や入学、就職などの発達的移行期(developmental transition)にはどの子にも新しい環境への再適応が必要とされ、不適応的行動発現のリスク期と位置付けられる。本研究では、乳児期から成人前期に至るまでの各発達移行期-乳幼児期における家庭から保育所・幼稚園等の保育集団への移行、児童期から青年期における小学校・中学校・高等学校・大学への入学、青年期から成人前期における職業世界への移行-について各発達移行期を網羅する複数のコーホートサンプルを追跡して同一の発達精神病理学(developmental psychopathology)的な測定・分析パラダイムによって検討することにより、各移行期での環境要因と不適応発現の因果関係を同定し、リスクをより健やかな発達につなげるためにはどのような条件が必要なのかを子ども期全体を通じて明らかにすることを目的としておこなわれた。平成18年度は、(1)発達移行期における不適応発現のリスクと防御過程に関する4年間の経年調査研究を還流する基本的な仮説枠組をたて、幼児期〜成人前期までのマルチ・コホートサンプルを対象とする調査における測定緒変数と使用尺度の検討、および(2)I.乳幼児期コーホート(本研究終了年に小学校1年生となる3〜4歳児653名)の追跡調査(誕生時より3回目の縦断調査で、全サンプル対象の郵送による質問紙調査とうち175家庭を対象とした家庭および保育施設での行動観察調査)を完了した。
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