2006 Fiscal Year Annual Research Report
多理論統合モデルを用いたストレスマネジメント介入のランダム化比較試験
Project/Area Number |
18203035
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
津田 彰 久留米大学, 文学部, 教授 (40150817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 喜一郎 久留米大学, 高次脳疾患研究所, 教授 (20140642)
高橋 裕子 奈良女子大学, 保健管理センター, 教授 (00346305)
磯 博行 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (80068585)
矢島 潤平 別府大学, 文学部, 講師 (30342421)
津田 茂子 呉大学, 看護学部, 教授 (20197700)
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Keywords | 多理論統合モデル(TTM) / ストレスマネジメント行動 / 自己効力感 / 大学生のメンタルヘルス / 行動変容のステージ / 不健康な行動 / コーピング / 日本版TTM尺度 |
Research Abstract |
Prochaskaの多理論統合モデル(Transtheoretical Model, TTM)を構成する概念が本邦においても適応可能かを検討するため、本研究では、1)大学生のストレスマネジメント行動の変容ステージの状況の検証、2)ストレスマネジメント行動に対するセルフエフィカシーによる行動変容ステージの差異、3)変容ステージにより実際に行われるストレッサーに対するコーピングへの差異、4)変容ステージが進むことによる、実際のストレスマネジメント行動の差異を検討するとともに、日本版TTM尺度の信頼性と妥当性を検証した。 その結果、1)については、前熟考期の割合が最も多く、ストレスマネジメント行動を変容させる意思の乏しい大学生が多いことが明らかとなった。 2)については、セルフエフィカシーは行動変容ステージが上がるほど高くなり、維持期がもっとも高かった。また、高い行動変容ステージにある個人ほど、自己効力感が高いという今回の知見は、米国の大学生の先行結果と一致し、TTMの適応の有効性が示唆された。 3)については、実行期と維持期など高い変容のステージにある個人は、効果的なコーピング行動を実際に行っており、不健康的な行動では低い変容のステージに属する個人と違いがなかった。とくに、「計画」という建設的なコーピングは、準備期までの低い行動変容のステージではほとんど用いられていないのに対して、実行期以上のステージで高い割合で採用されており、隣り合う準備期と実行期の間に明確な差が存在した。 4)については、望ましくない行動の減少と行動変容のステージとの間に関連はなかったが、より高い行動変容ステージでは、効果的なストレスマネジメント行動が実際に数多く試みられること、また行動変容ステージの進行は、不健康な行動の減少よりも、建設的なストレスマネジメントの増加と関連していることが分かった。 以上の結果より、信頼性と妥当性のある日本版TTM尺度が完成され、介入効果のツールとして活用が可能になった。
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Research Products
(15 results)