2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18203036
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
北岡 明佳 Ritsumeikan University, 文学部, 教授 (70234234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗木 一郎 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (80282838)
蘆田 宏 京都大学, 文学研究科, 准教授 (20293847)
村上 郁也 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (60396166)
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Keywords | 錯視 / 静止画が動いて見える錯視 / 蛇の回転 / 脳機能計測 / fMRI / MT+ / V1 / 注意 |
Research Abstract |
本研究の目的は、視覚性運動知覚(運動視)と静止の知覚の心理学的・生理学的メカニズムを深く知る手がかりとして、静止画が動いて見える錯視のメカニズムを、脳機能計測と心理物理学的に調べることである。 1.5TのfMRIを用いた脳機能計測実験を8人の被験者に実施した。被験者に静止画が動いて見える錯視刺激(「蛇の回転」とそのコントロール刺激をABBA方式で提示)を提示し、錯視が見えている時の脳活動をfMRIで記録し、この錯視に対応する脳領域の同定を目標として、データを解析した。その結果、錯視刺激に特有の脳活動に起因すると考えられる信号変化(「蛇の回転」の信号からコントロール刺激への信号を引き算したもの)をMT+野と考えられる視覚野において検出した』一方、V1においては、錯視的回転知覚に応答する脳活動は検出できなかった。 上記の研究法では、MT+と推定される領域が「注意」に応答するという可能性を除くために、注意をそらす別の課題を同時に行なっていた。この条件では、錯視に応答すると考えられる信号を統計学的に有意なレベルで検出したが、その強度は比較的小さかった。そこで、試みに、注意課題のない条件を試したところ、錯視に応答する信号強度は顕著に大きくなった。これらの結果を総合すると、注意課題が錯視の見え方を阻害したと考えることもできるし、錯視図形は注意を随伴する刺激であるという考え方も成り立つ、ということが示唆される。後者の考え方が正しいとすると、「錯視図形は特に強く注意を惹起する」という新しい知見が得られたことになる。 その他、静止画が動いて見える錯視の新型として、サッカードの直後に起こる「ガクガク」錯視が発見されたが、その性質は調査中である。
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Research Products
(7 results)