Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 朋好 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (60055324)
森田 茂之 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (70011674)
松元 重則 日本大学, 理工学部, 教授 (80060143)
相馬 輝彦 首都大学東京, 大学院理工学研究科, 教授 (50154688)
大槻 知忠 京都大学, 数理解析研究所, 助教授 (50223871)
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Research Abstract |
本研究は,ペレルマンによる幾何化予想の解決を前提に,本研究組織がカバーできる広範な分野を総動員し,3次元多様体上の幾何と不変量が織りなす相互作用の理解を大域幾何(large scale geometry)の観点から深め,3次元多様体の世界の有機的結び付きをより詳細に記す鳥瞰図の作成を目指している.この目標は,19世紀半ばには素朴な意味でトポロジーが完全に知られていた曲面の世界が,実はその内部に豊かな構造を秘めており,今日,数学内外の諸分野と結びつき研究が華やかに展開されていることが手本にある. 研究を効果的に進めるため,研究組織内の日常的な研究打ち合わせ,国外を含めた研究集会での成果発表,研究集会の開催,あるいは関運研究集会の(参加者への旅費支給などの)開催援助を行った.とくに,擬アノソフ流を用いて3次元多様体の構造研究で優れた業績を挙げているSergio Fenley氏を招へいし,関連するテーマでの連続講演会を開催した.また,実験数学的手法を多用するため研究支援者を雇用した. 今年度はこれらの研究体制の下に研究組織として多くの成果を挙げたが,ここではとくに研究代表者周辺による研究経過を記す.まず,双曲構造に代表される幾何構造と位相不変量の関係を総体的に捉えるため各種不変量の間に擬等長という概念を導入し,種々の試みを開始した.とくに高沢は金英子氏(東工大)と共同で,曲面の擬アノソフ写像のエントロピーと,その懸垂の双曲体積は劣擬等長であると予想し,タイヒミュラー空間上のタイヒミュラー計量とヴェイユ・ピータンソン計量を比較することにより成果を挙げつつある.また代表者との議論の下で博士課程学生の大山洋史は,ある結び目の族に対して,色付きジョーンズ多項式の特殊値族が擬等長であることを,色の次数が13以下の素数に対して確かめた.擬等長という関係による捉え方の有用性を確信し,同観点からの研究を来年度も重点的に進める.
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