2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18204011
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
儀我 美一 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (70144110)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 仁司 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (70102887)
利根川 吉廣 北海道大学, 大学院理学研究院, 助教授 (80296748)
佐藤 元彦 室蘭工業大学, 共通講座・数学, 助教授 (30254139)
|
Keywords | 非平衡非線形現象 / 結晶成長の安定性 / ギブス・トムソン効果 / 特異表面エネルギー密度 |
Research Abstract |
非平衡非線形現象は、さまざまな自然現象にあらわれ、それを解析することは科学・技術全般にわたって重要である。その中で、拡散現象を記述する非線形拡散方程式の研究は、意義が大きい。そこで、さまざまな解の性質を調べ、その方程式についての解析的性質を深めた。具体的成果は以下のとおりである。 ナヴィエ・ストークス方程式:流体力学の基礎方程式であるナヴィエ・ストークス方程式の初期値問題は、全空間の場合、有限エネルギーを仮定している事が多い。この枠組みでは、周期的な初速度や、概周期的な初速度は排除されてしまう。そこで、単に有界な初期値からの可解性を調べてきた。特に最近は地球流体を記述するためのコリオリ力付の問題で、無限遠で減衰しない初期値についての時間局所解の一意存在問題を考察した。この問題は、有界関数の空間では適切ではないので、よりよい空間を見つけようとした。ベゾフ空間や測度のフーリエ像の空間で、時間局所解を構成した。特に後者の空間では、存在時間区間はコリオリ力の回転数によらず、一様に取れる事を示した。無限遠で減衰しない初期値については最初の結果である。 半線形熱方程式の解の爆発問題:この問題は1970年代、80年代からよく考察されているが、空間無限大で減衰する初期値についての結果が多い。例えば空間無限遠で上限に収束する初期値の場合、爆発がどこで起きるかどうかも不明であった。この問題に取り組み、非線形項が未知関数のベキ乗や指数関数の場合、爆発は空間無限遠のみで起きることを示した。さらに、爆発のおきる方向の概念を導入し、初期値の形との関連を明確にした。 自由境界問題:円柱状の結晶が、その成長していく過程でどのような条件でその平らな面が崩れていくかを知ることは、結晶成長の安定性を考える上で基本的である。結晶表面での異方的ギブス・トムソン効果を考えたモデルを考察した。結晶表面の運動方程式は、特異表面エネルギー密度の劣微分を含み、通常の偏微分方程式では記述できない。実際に平らな面が崩れていくような解を結晶の外の過飽和度が既知として構成した。
|
Research Products
(7 results)