2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18204011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
儀我 美一 The University of Tokyo, 大学院・数理科学研究科, 教授 (70144110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
利根川 吉廣 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (80296748)
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Keywords | コリオリ力 / 概周期関数 / 特異拡散 / 自由境界問題 / ファセット / 非一様な場 |
Research Abstract |
本年は結晶成長現象に現れるファセットを持つ解の構成を中心とした問題と、また回転場内のナヴィエ・ストークス方程式の時間大域解の問題を主に考察した。その他、流体力学方程式の理解のために半線形熱方程式の解の爆発問題にも取り組んだ。 結晶成長現象ではファセットと呼ばれる平らな面が現れることがある。この場合、結晶表面の成長を記述する方程式は表面エネルギー密度関数に異方性があり、その関数に特異点がある、いわゆる特異拡散方程式となる。これまでにファセットの安定条件を導出した。本年はさらにファセット分裂の起こる解を、自由境界問題を解くことにより2次元結晶の場合に具体的に構成した。ただし、駆動力は結晶の周りの密度分布を反映した既知関数とした。これは従来扱われてきた自由境界問題と異なる新たな型の問題であった。 地球流体のような回転場の中の流体を記述するコリオリ力付ナヴィエ・ストークス方程式の数学解析は・回転場に対応する発展作用素であるボアンカレ・ソボレフの群が拡散型ではなく、分散型であるため、通常のナヴィエ・ストークス方程式では初速度がBMO空間(有界平均振動関数の空間)に属する関数の微分の場合、その関数が小さければ時間大域解の存在が知られている。しかし、BMOではボアンカレ・ソボレフの群は時間に関して非有界なので、BMO空間では回転場内の流体方程式の大域解は構成しづらい。そこで、有限測度のFourier像である空間FMをBMOの代わりに用いることにより、回転数によらずに初速度が小さいときの時間大域可解性を示した。実概周期関数を初速度とする最初の大域的結果である。
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Research Products
(18 results)