2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18204033
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
春山 純志 青山学院大学, 理工学部, 助教授 (70296383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 茂夫 東京大学, 工学系研究科, 教授 (90209700)
篠原 久典 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (50132725)
斎藤 晋 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (00262254)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 超伝導 / 電子格子相互作用 / マイスナー効果 / 磁化測定 / 強磁性触媒量低減 / 第二種超伝導体 |
Research Abstract |
本年度は本科研費補助金プロジェクト「カーボンナノチューブ(CNTs)における高温超伝導の研究」の実施初年度であったため、以下のような観点から基礎的なデータを積み上げることに主眼を置いて研究を行った。 春山(青学大):(1)磁化測定とマイスナー効果の同定、(2)超伝導の再現性向上、(3)ホウ素注入の可能性検討など。 丸山(東大)・篠原(名大):気相成長により生成される多層CNTsの触媒量との相関、品質・生成量などの制御 斉藤(東工大):ホウ素注入と超伝導発現の相関の理論的探索 その結果主に以下のような成果を得ることが出来た。 マイスナー効果の同定のために、昨年度電気抵抗の低温での減少の観点から超伝導を報告した試料の作成プロセスに基づいて、CNTs合成に使用している強磁性触媒Fe/Coを徹底的に削減し、その上で効率よく高品質多層CNTsを生成することを試みた。その結果、触媒を電気化学的にアルミナ膜テンプレートのナノ細孔底に成長する際の、エネルギー(溶媒温度、印加電圧・時間)を下げることで触媒量が激減できることを発見した。さらにその条件下で、気相成長直前にAr+H_2ガスで触媒表面を還元することで、高効率で多層CNTsを合成できることを発見した。これにより、試料中に残留するFe/Co触媒の量を激減させながら、大量の多層CNTsを合成することに成功した。この条件で合成された試料においてまず電気抵抗を測定し、超伝導に起因すると思われる電気抵抗の減少が観察できた試料で磁化の測定を行った。その結果、規格化された磁化と温度の依存性においてT_c=19Kから緩やかで飽和しない磁化の落ちを発見した。各温度でのこの磁化の磁場依存性は第二種超伝導体のマイスナー効果特有の傾向を示し、かっ、上部臨界磁場の温度依存性もT_c近傍でマイスナー効果特有の振る舞いを示すことを確認した。また、この上部臨界磁場の温度依存性より超伝導コヒーレンス長が約4〜7nm程度と見積もれ、この値も炭素関連の超伝導体と比べて合理的な値であることを確認できた。さらに、蜂の巣アレイ状に配置している多層CNTsのチューブ間結合がこのマイスナーに強く寄与している可能性を発見し、マイスナー効果のための遮蔽電流は複数のCNTsをまたがって流れている可能性を指摘できた。
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Research Products
(7 results)