2008 Fiscal Year Annual Research Report
量子縮退イッテルビウム原子気体の物理:多様性の新展開
Project/Area Number |
18204035
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 義朗 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (40226907)
|
Keywords | 量子縮退 / イッテルビウム / フェルミ縮退 / BEC / レーザー冷却 |
Research Abstract |
まず新たに173Yb原子のフェルミ縮退と171Yb原子のフェルミ縮退の混合、を実現することができた。特に、最近生成されたLi原子とK原子の混合フェルミ縮退の系とは大きく異なり、それぞれの原子にスピン自由度が存在し、様々な応用が考えられる。 さらに、これまでに開発した準安定励起状態3POおよび3P2への直接励起用光源を用いて、基底状態1SOから準安定励起状態3P2へ直接励起することにより、1次元系のボース気体、特に、強相関のトンクスガスの領域にあるボース気体の原子間相互作用を詳しく調べることに成功した。 また、173Yb原子のフェルミ縮退と174Yb原子のボース凝縮体からなるフェルミオン分子を2光子光会合法により生成することに成功し、その生成効率を詳しく調べた。 さらに、大きな電気双極子モーメントをもった極性分子LiYbの生成を目指し、LiおよびYb原子の同時レーザー冷却に成功した。 また、いくつかのYb量子気体を3次元光格子に導入することに成功した。まず、174Yb原子を3次元光格子に導入して、光強度を調節することにより、干渉パターンを観測することで、超流動・モット絶縁体転移を観測することに成功した。モット状態を示す干渉パターンも消失は、単なる熱的なデコヒーレンス等によるものではなく、再び光格子ポテンシャルを低くすると、系全体として再び位相コヒーレンスが速やかに復活して、再び干渉パターンが観測されることを確認した。また、フェルミ・ボースの混合気体も3次元光格子に導入することに成功した。斥力相互作用するフェルミ・ボース混合気体の場合は、ボース気体の超流動性はフェルミオンの存在によってあまり影響を受けないことが確認された。これは相分離の可能性を示唆する結果であり、別に行った光会合の測定結果とも一致した。
|