2009 Fiscal Year Annual Research Report
量子縮退イッテルビウム原子気体の物理:多様性の新展開
Project/Area Number |
18204035
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 義朗 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (40226907)
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Keywords | 量子縮退 / イッテルビウム / フェルミ縮退 / BEC / レーザー冷却 |
Research Abstract |
進展著しい希薄原子気体の量子縮退の研究分野において、これまで主に研究の対象とされてきたアルカリ原子系と大きく異なる、ユニークな特徴のある原子系にしか実現できない現象こそ今後の重要な研究課題となるとの認識のもと、Yb原子のレーザー冷却・量子縮退の研究全般を包括的に、世界に先駆けて行ってきた。本研究は、Yb原子のユニークな特徴を最大限に生かした全く新しい量子縮退系の実現と、その新たな可能性を探る研究を本格的に行おうというものである。特に、(A)多様なBECやフェルミ縮退の混合、(B)異核分子のBECやフェルミ縮退、(C)軌道角運動量をもった準安定状態のBECやフェルミ縮退、を対象として、「多成分混合多様量子縮退系の実現とその特異な物性解明」を研究目的とした。 この目標に向けて、今年度は、これまでに生成した量子縮退気体に対して、1)基底状態1SOから励起状態3P1への遷移を用いた光フェッシュバッハ共鳴を開発することに成功した。具体的には、光会合共鳴に近共鳴の光をパルス的に定在波でボース・アインシュタイン凝縮体に印加して、その原子波回折パターンの振舞いから、原子間相互作用が300nm以下のスケールで変調させることに成功していることを確認した。さらに、2)自然存在比が0.1%程度と極めて小さい同位体168Ybについてボース・アインシュタイン凝縮体を生成することに成功した。3)フェルミ縮退している核スピン成分の分離観測に成功し、高スピンのフェルミ系の実現を直接観測することに成功した。4)ボース・フェルミ混合系を光格子に導入し、2重サイト占有やボソンとフェルミオンの対占有の様子を詳しく調べた。5)ディッケのサブーラディアント状態に対応する長寿命分子を発見した。6)さらに、Li-Ybの混合気体を光トラップすることに成功した。
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