2007 Fiscal Year Annual Research Report
生体高分子の界面吸着が誘起する氷の結晶成長促進・自励振動現象の異方的ダイナミクス
Project/Area Number |
18204036
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
古川 義純 Hokkaido University, 低温科学研究所, 教授 (20113623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片桐 千仭 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (90002245)
横山 悦郎 学習院大学, 計算機センター, 教授 (40212302)
灘 浩樹 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理研究部門, 主任研究員 (90357682)
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Keywords | 氷結晶 / 不凍タンパク質 / 結晶成長カイネティクス / 協同現象 / 界面吸着現象 / タンパク質分画 |
Research Abstract |
1.分子量の異なるいくつかのタイプの混合物として供給される不凍糖タンパク質(AFGF)を分予量ごとに分画する技術を習得し、AFprotein社から購入した試料、及び本研究課題に関連して国際共同研究を実施中の米国カリフォルニア大学デービス校のYin Yeh教授の研究室から提供を受けて試料を分子量ごとに分画した。前者は、AFGP8-6の混合物であり、後者はAFGP6-4の混合物であり、各種のAFGPを単独で利用できるようになった。 2.これらの分画したAFGP試料を用いて、氷結晶成長実験を行った結果、分子量の小さいAFGP8が単独で存在する場合は結晶成長抑制機能がほとんど観察されないが、分子量が大きいAFGP5,6などでは強い抑制機能が発現することが明らかになった。 3.さらに、分画前のAFGP8-6の混合物試料をそのまま使った氷結晶成長実験では、AFGP8単独の場合より強い凍結抑制効果が観察された。この試料は、AFGP8が80%以上を占めているので、わずかに含まれるAFGP6の分子量の大きなタンパク質との共同現象として凍結抑制機能が発現したことを強く示唆する結果を得た。 4.AFGP分子が氷/水界面に吸着した状態での二次構造変化の測定もATR-FTIR法により継続した。分子量の大きいAFGPほど、ランダムコイルからα-ヘリックス構造への変化を示すシグナル強度が上昇することが明らかになった。 5.これらの実験結果は、AFGP分子が単一の分子量のもので構成されるよりも、分子量の異なるもの混合物のほうが機能を強く発現させるという協同現象が存在することを明確した。
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