2008 Fiscal Year Annual Research Report
生体高分子の界面吸着が誘起する氷の結晶成長促進・自励振動現象の異方的ダイナミクス
Project/Area Number |
18204036
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
古川 義純 Hokkaido University, 低温科学研究所, 教授 (20113623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐崎 元 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (60261509)
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Keywords | 凍結抑制タンパク質 / 氷結晶 / 結晶成長 / 界面吸着 / 自励振動 / 協同現象 |
Research Abstract |
1. 氷表面や氷/水界面における成長ステップの観察システムを立ち上げ、氷表面においては1分子ステップの観察が可能になりつつある。これが実現したことで、蛍光ラベルした凍結抑制タンパク質の氷/水界面における挙動を可視化する道筋が開かれた。(佐崎) 2. 連携研究員である金子(大阪大学)とともに、AFGP水溶液から得られたX線小角散乱データの解析を行った。その結果、水溶液中では過冷却状態になってもAFGP二次構造に大きな変化は存在しないことが確認された。すなわち、,前年までにATR-FTIR法により得られた氷/水界面吸着状態のAFGP二次構造変化の結果を強く補完する。また、中性子散乱による測定実験の可能性についても検討を行い、次年度以降にマシンタイムの獲得を目指す。 3. 本研究課題で横山(学習院大、連携研究員)により提案された、凍結抑制タンパク質の氷/水界面吸着に対する二段階可逆吸着モデル(2-step reversible adsorption mode)の定式化を行った。この定式化により、成長速度の振動現象がこの吸着モデルを証明する指針のひとつであることが明確にされた。振動現象はすでに実験的に観察されており、このモデルとの整合性が明らかにされた。 4. 灘(産総研、連携研究者)が独自に開発した新しい水分子モデルを使用して、AFP type I分子の吸着を分子動力学法でシミュレーションを実施した。特に、吸着の異方性に注目して解析を行い、プリズム面から角度を持った高次数の微斜面に強い吸着が起こることを示した。 5. 分画したAFGPを使った氷の結晶成長実験により、凍結抑制機能の発現は協同現象の一種であることを明らかにした。(古川、博士研究員)
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Research Products
(12 results)