2009 Fiscal Year Annual Research Report
生体高分子の界面吸着が誘起する氷の結晶成長促進・自励振動現象の異方的ダイナミクス
Project/Area Number |
18204036
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
古川 義純 Hokkaido University, 低温科学研究所, 教授 (20113623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐崎 元 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (60261509)
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Keywords | 凍結抑制タンパク質 / 氷結晶 / 結晶成長 / 界面吸着 / 自励振動 / 協同現象 |
Research Abstract |
1.氷表面において、1分子高さのステップの運動をその場観察できるようになるとともに、表面融解に伴う疑似液体層の挙動も可視化された。この結果、氷のベーサル面は融点近傍までステップ成長することが確認された。(佐崎) 2.氷/水界面の成長速度の精密測定とステップ運動の可視化を目指し、位相差顕微鏡とマイケルソン型干渉顕微鏡を同光軸で使用できる新しい顕微光学系を開発した。この装置により、ガラス表面の1/100以光反射率しかない氷/水の界面でも、十分なコントラストで干渉縞が観察できることが確認された。このシステムを使い、不凍糖タンパク質の水溶液中での成長界面の詳細観察を行った。その結果、成長速度が振動することが改めて確認された。(古川・博士研究員) 3.氷核生成を促進する効果を持つ氷核タンパク質の水溶液中で氷結晶成長実験を行い、このタンパク質も結晶成長抑制の効果を併せ持つことが明らかになった。この成果は、不凍タンパク質の機能発現機構が分子サイズに依存する可能性を指摘する成果である。(古川・博士研究員) 4.これらの実験結果により、氷結晶の成長を制御するタンパク質分子の氷界面への吸着特性およびその機能の発現機構が分子レベルで明らかになった。(古川・佐崎) 5.本研究で得られた成果をもとに、国際宇宙ステーション「きぼう」における宇宙実験テーマが採択され、2011年度の実験実施を目指して、実験装置の開発が開始された。特に、本実験で開発した結晶成長セルと光学系が宇宙実験装置の開発にも直結されている。(古川)
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