2007 Fiscal Year Annual Research Report
新しい対称性を示すフォトニック階層構造を"創る・知る・操る"
Project/Area Number |
18204037
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 潤 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (10200809)
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Keywords | ソフトマター / 階層構造 / フォトニック液晶 / 等方秩序 / ナノ構造 / 分子マニュピレータ / 秩序変数 / 長距離相互作用 |
Research Abstract |
第2年次にあたる19年度は、2つ目のキーワードである"知る"について、重点的な研究を行った。"創る"において得られた3つのスケールのモデル系を用いて、階層構造の時空間の特徴を"知り"、そのデザインにフィードバックする。ソフトマターの階層構造とは、内部自由度の"運動"と階層的な"構造"間に、密接な関係を持つことが最大の特徴である。そこで、本研究課題では、空間測定として、透過電子顕微鏡と偏光・位相差顕微鏡にX線回折測定装置を導入し、広帯域でリアルタイムな構造解析システムを作成した。また、時間軸測定として、ヘテロダイン動的光散乱装置と光子相関法の測定システムにより、広帯域なスペクトロスコピーシステムを完成した。この測定法により 1.分子スケール純粋な液晶モノマー分子に、同種分子のダイマー・オリゴマー・ホモポリマーを混合した系をモデルとした。ミクロなエントロピー的なフラストレーションを徐々に加えたときに現れる巨視的な構造の変化をX線・顕微鏡などで調べ、同時に動的光散乱法によるダイナミクスの測定から、内部自由度の運動性への影響を直接的に関係づけた。この結果、分子運動の"凍結"により発生する長距離相互作用の起源の包括的な理解を目指した。 2.超分子・高分子スケール高分子・超分子などの不純物を混合すると、液晶秩序の揺らぎや液晶分子の並進拡散を妨害するため、内部自由度のエントロピー損に起因した長距離相互作用が生まれる。本課題では、この力を高分子・超分子を任意の場所に集める力として利用し、新しいタイプの分子マニュピレータの原理を発案した。現在、高分子の形状・サイズ・化学的性質を変えて、原理の定量的検証を行っている。また、この方法により任意の高分子濃度の分布を作り、液晶中での高分子の異方的な拡散を測定することができる。蛍光プローブなどによる既存の方法に比べ、高分子自体の拡散を直接追うことができる点で、画期的な新しい拡散係数の測定法を提唱した。
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