2008 Fiscal Year Annual Research Report
新しい対称性を示すフォトニック階層構造を“創る・知る・操る"
Project/Area Number |
18204037
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 潤 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (10200809)
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Keywords | ソフトマター / 階層構造 / フォトニック液晶 / 等方秩序 / ナノ構造 / 対称性 |
Research Abstract |
本年度は3つのキーワードのうち、最後の“操る"について重点的に研究を行った。ソフトマターの階層構造は、その本質的な“ソフトネス"に起因した、外場による大きな“チューナビリティ"を持つことが特徴である。また、逆の視点からのユニークな"操作"法として、分子・超分子を“階層構造を用いて輸送"する実験を試みた。 1.分子スケール申請者により発見された“等方性スメクティックブルー相"は、可視光の領域で“完全に等方的"に構造色を反射し、新しい対称性を示す自発的なフォトニック階層構造である。また同時に、この構造色は温度に鋭敏に依存して、紫色から黄色まで選択反射波長が変化する。そこで、色素分子を混合した系を用いて、レーザ光励起によりフォトニック構造を任意に変化させる実験に成功した。応答時間は100m秒と早くないが、角度依存性を本質的に示さない等方秩序構造を、外場によって任意に制御する可能性が広がった。 2.超分子・高分子スケールネマティック秩序に対する不純物として、適当な蛍光高分子を混合したサンプルを用意し、あらかじめ別途混合したアゾ色素分子を光励起することでネマティック秩序の秩序変数を空間的に制御する。蛍光高分子の存在はネマティック秩序の秩序変数と直接結合している。そこでこの結合を利用して不純物である蛍光高分子の濃度を自在に制御することができると考えた。この方法では、不純物自体が外場に関して感受率を持たなくとも、背景の液晶場の力を媒介として動かすことが可能である点で優れている。本研究では、蛍光顕微鏡を用いてアゾ色素分子を選択的に励起して、ネマティック秩序の秩序変数の空間勾配を作り、分子を集める分子マニピュレーターを設計した。実際にマニピュレーターを試作してモデル的な蛍光高分子を集めたり、分散させたりすることに成功した。
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Research Products
(20 results)