2009 Fiscal Year Annual Research Report
量子標準に基づいた次世代長期地殻変動観測手法の開発
Project/Area Number |
18204039
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新谷 昌人 The University of Tokyo, 地震研究所, 准教授 (30272503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 修 東京大学, 地震研究所, 教授 (20127765)
高森 昭光 東京大学, 地震研究所, 助教 (00372425)
堀 輝人 東京大学, 地震研究所, 助教 (40463898)
寺田 聡一 (独)産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 研究員 (30357545)
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Keywords | 地殻変動 / 地震 / 測地 / レーザ / 計測工学 |
Research Abstract |
本研究は、二つの主要な地殻変動観測のスケール、すなわち横坑伸縮計による10m~100mのスケールの観測、およびGPSによる10km~100km基線での観測、の中間のスケール(数百m~数km)の地殻変動を観測する手法を開発する。具体的には、2光波干渉計をベースに「量子標準」を測定基準としたシステムを開発する。その結果、高分解能と長期安定性をともに有する観測が可能となり、テクトニック変動を実時間観測できる地殻変動観測手法の確立をめざす。 平成21年度は前年度につづき神岡100mレーザ伸縮計による地震時のひずみステップ解析を継続し、論文としてまとめた。2004年から2008年に起こったM5.8-M7.4の10の地震により、10^<-8>~10^<-10>程度のひずみステップがレーザ伸縮計により検知された。地震波解析からもとめられた震源断層とこれら高精度な測地学的観測結果は整合することが定量的に確認され、逆にfar-fieldでの測地学的観測により震源断層パラメーターや地盤の剛性率について制限を与えることができることを示した。 本研究の主要課題である2光波干渉計の開発については、産業技術総合研究所の光学トンネル内に建設した基線長約80mのプロトタイプを神岡に移設し、伸縮計・絶対長干渉計との同時観測を実施した。その結果、10^<-9>台の観測精度が得られ、地球潮汐とともにチリ地震などの遠地地震波形についても干渉縞の欠落なく高い精度で記録できた。数百m~数kmの空間スケールでの地殻変動観測に有望であることが示された。弾性波応力計は設置後の初期ドリフトが継続し、落ち着くのに時間を要している。計測精度については期待通りであったが、ドリフトの小さい設置方法についてさらなる検討が必要と考えられる。名古屋大学犬山観測所で実施した石英管伸縮計と30mレーザ伸縮計の並行観測では、後者のノイズが有意に低いことが示された。このように、量子標準をベースとした4つ手法の同時観測を実現し、当初の研究計画をほぼ達成することができた。
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